第18話 『ニスベル隊』出撃

 12:00。


 ニニシア近郊に位置するニニシア基地は大慌てで出撃を繰り返していた。


 既に何機ものGAMESがニニシアへ向かい、奇襲を仕掛けてきたレアル帝国軍に対処している。


 しかし、その結果は芳しくない。


 司令室では出撃した隊員たちの悲鳴が響き渡っており、その光景はまさに地獄であった。


 そんな中、1つの部隊が出撃の準備をしていた。


 その部隊は連合軍からマタイ共和国軍の訓練を任されていたニスベル隊だ。


 連合軍は宇宙連合軍本部が発足した招集によって各国家から集められた兵士たちの集まりである。


 そのため、国ごとの軍とは別の組織にあたる。


 そして、ニスベル隊は他の国と比べて戦力に劣っているマタイ共和国軍の補助、及び戦力強化の任を連合軍本部から命令されていた。


 ニスベル隊は命令に従い、マタイ共和国軍に駐留していた。


 そんな時、レアル帝国軍の奇襲を受けた。


 ニスベル隊はニニシアで暴れているレアル帝国軍を止めるために出撃することになった。


 彼らは元々は別の惑星から集められた精鋭部隊だ。


 このマタイ共和国の出身などではない。


 それでも彼らはこの国に長い間滞在していたこともあり、マタイ共和国には愛着があった。


 そんな国の首都をめちゃくちゃにしている奴らがいるとなれば、彼らも黙ってはいられないだろう。


 彼らはニニシアで暴れるレアル帝国軍を止めるために出撃の準備を急いでいた。


 格納庫では彼らが搭乗するATLASの点検が行われている。


 そのATLASはエメラルドグリーンの装甲でGAMESとは別のATLASのようだ。


 このATLASの名前はMA004-BASIAバシア


 このマタイ共和国で開発された新型ATLASである。


 BASIAの全長は22メートルほどとGAMESよりも小さい。


 しかし、BASIAはGAMESを元に更に機動力とパワーを上げた高性能機である。


 そして、パワーと機動力を上げる際にそれに耐えられる装甲が必要になるため、防御力の方も高くなっている。


 ジェネレーター出力もGAMESの1.5倍以上の出力を誇っており、より強力な武装を搭載できるようになっている。


 地上戦を想定して、足にはホバー機能がついており、高速で地上を移動することができる。


 背部スラスターもGAMESのものよりも出力が高いため、短時間なら重力圏内の空中での戦闘も可能である。


 この特徴的な装甲は対実弾コーティングによるものであり、実弾兵装が多いMessiahへの対策になっている。


 このマタイ共和国という比較的軍事力の弱い国がこのような高性能ATLASを完成させることができたのは1人の天才によるものである。


 そんなBASIAの点検を見守っているニスベル隊の隊長であるガンは隊員たちに大きな声で演説する。


「BASIAでの実戦はこれが初めてだ!!しかし!!俺たちは長い間このBASIAで訓練を続けてきた!!お前たちもこのBASIAの性能の高さを痛いほど理解しているだろう!!レアル帝国軍の奴らにBASIAの性能と俺たちの実力を知らしめるぞ!!」


 ガンがそう宣言した瞬間、ニスベル隊の隊員たちは歓声をあげる。


 そして、ニスベル隊の隊員たちは順番に自機へ搭乗すると、そのまま輸送用の大型プロペラ機へ搭乗する。


 BASIAを載せたプロペラ機はそのまま飛び上がると、ニニシア中央へ向けて飛んでいったのだった。

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