第14話 ニナの治療

 隠し整備場にたどり着いたアラヤはとりあえず、ニナの治療のために救急箱を探し始める。


 救急箱は割と分かりやすい場所に置いてあったため、すぐに見つけられた。


 アラヤは救急箱を取ると、すぐにニナのところへ向かい、彼女の応急処置を開始する。


 彼女の負った傷は浅くはなかったものの、内蔵までは届いておらず、止血剤を打ち、包帯で傷口を覆う。


 これでニナは助かると安心した時、ニナの呼吸がいきなり止まる。


 ニナの呼吸が止まった瞬間、アラヤは我を忘れたように焦り始める。


 しかし、このまま彼女を放って慌てていると、手遅れになってしまう。


 アラヤは自分の頬を叩いて何とか正気に戻ると、すぐに心臓マッサージを始める。


 今のアラヤはアドレナリンにより、傷の痛みが全くない。


 そのため、アラヤは必死に心臓マッサージを続ける。


 心臓をマッサージしながら、時々アラヤは人工呼吸もする。


 それでも彼女の呼吸が戻ることはなかった。


 アラヤは目から大粒の涙を流しながら、彼女の名前を呼ぶ。


 しかし、ニナからの返事が返ってこない。


 それでも諦められないアラヤは必死に心肺蘇生を続ける。


 アラヤが心肺蘇生を始めてから10分が経った。


 アラヤの頑張りも虚しく、ニナが再び目覚めることはなかった。


 アラヤはニナの死を受け入れられなかった。


 呼吸が止まったニナにアラヤは心肺蘇生を続けている。


 しかし、段々と冷静になってきたアラヤは嫌でもニナの死を理解してしまう。


 ニナの死を理解してしまったアラヤの手は止まってしまう。


 そして、アラヤはその場で号泣する。


 それは今まで見せたことのないほどの号哭であった。


 アラヤは呼吸の止まったニナを抱きしめる。


 そうして、アラヤは時を忘れて泣き続けたのだった。




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