第7話 「もう1人。」影

台風が過ぎ去った。空は塵一つない。

全て台風が持ってった。

8月18日に空は何もない。

太陽だけが光を地上に落とす。

地球人のなりすましの僕は地面に立つ。

真上の太陽の光が何の屈折もなく頭に落ちてくる。

「何もないな。」僕はつぶやく。

気持ち的には爽やかな晴れ晴れした気分だ。

性格が屈折している宇宙人の僕はダークを探す。

太陽は眩しすぎる。

「ここにいるぞ。」

「ダークサイドか?」

形のないものについ、尋ねた。

「そうさ。」

「どこにいる。見えないぞ。」

「地球人ならすぐ気づくぞ。僕はここにいる。」

「ダークサイドの領域の生命体のくせに生意気だな。僕をバカにしているのか?」

「そんな、面倒なことはしない。さっきからここにいるって教えてやってるぞ。

地球人になりすましの宇宙人め。下だ。」

僕の影が「やあ。」と手を振っている。

「なんだ、影か。さっきから僕をバカにしていたのは。」

「そうさ、人間ならすぐ影を疑う。俺様、影には、よく、おばけや妖怪が入り込む。そのことを人間達は知っている。

人間達の遊びで”影踏み”がある。

影の中のおばけと妖怪を足で踏みつけ、やっつける遊びさ。」

「影の中のおばけか。しかし、結局お前、影も太陽の光がないと存在できないんだろう。この地球上の人間もおばけたちも太陽が必要なんだな。」

影がにゅーっと立ち上がり。

「本当に生意気な宇宙人だな。このまま食べてしまうぞ。」

影が大きな口を開けた。真上の太陽が雲に隠れ真っ暗に。

影は消えた。

「おばけも自力で存在できなければ、無力だな。」

影の声だけが微かに「宇宙人の少年。宇宙には影のおばけはいないのか?」

「いないよ。宇宙は漆黒の暗闇の世界。影も光も何もない。

あるのは、そこに存在するという自分の意志だけさ。」

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