第6話 「冷たい。」台風

12時間前の夜空は消えた。

朝日は隠れる。

なんだこの激しい水音。

僕は外に出た。

マンガの一コマのように一瞬でずぶ濡れ。

空から大粒の水。

重力に引っ張られて僕のカラダに

分厚い風と共に叩きつける。

神田川を見に行こうか。ずぶ濡れついでだ。

橋の上から見た。空から大粒の水。濁流だ。

川の真ん中、「カッパ?」

カッパが僕に手をふる。

あー、また見てしまった。

人間以外の生命体を。

「めんどくさい。」

見なかったことにしよう。

「びっしょ。」

キターーーー!

怖い顔のかっぱが目の前に。

僕は黙って、どうも的に頭を軽く下げた。

カッパは「少年、こわくないのか?」

「こわくないな。」

こんな時の対処法。

カッパ・水。カッパの陣地に入らないことだ。

「カッパくん、君の陣地。

川には入らないよ。大丈夫だ。」

「そうか。しかし少年、この大雨の中、普通の人間は屋根の中にいるぞ。

全身ずぶ濡れで何をしてるんだ?」

「特に何もしていない。台風の景色が見たかっただけだ。」

「少年、傘もささずにそんな格好で歩いていると人間達におばけだと思われるぞ。」

「おばけ?僕は構わないが、こんな日は人間は傘をさし、屋根の中にいるんだな。

カッパくん、教えてくれてありがとう。」

「変な人間だな。ついでに教えてやるよ。

カッパにはカッパの陣地がある。

たぶん他のおばけや妖怪、人間も同じだ。

陣地には許可なしで入るな。」

「教えてくれてありがとう。カッパくん。」

地球上の生命体、妖怪も悪くはないな。

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