第4話 「香る。」意思のあるつる草

一瞬、ミドリの草の匂い。

煙のように僕にまとわりつく。

ツーンと鼻につく、この強い匂いは?

嫌な予感。

つる系の草だ。

夏休み、森に入ると足を絡ませる。

あのつる草の匂いだ。

何をたくらんでいる。

また出て来たのか?

あいつは僕の邪魔をよくした。

植物のくせに意思があるように

歩く僕の道をふさぐ。

小さい頃は歩くたびに草がからみ、

地面に倒され。倒れる。

力の強い、つる草。

人間の僕をいつもあざ笑う。

高2の僕には勝てないさ。

僕は強い。強くなった。

届かなかった木のてっぺんのセミも捕まえる。

また、つる草が足にからみ、動けない。

『動くな。少年。』

足元から声が。

よく見ると少し離れて毒ヘビがニョロニョロ。

『少年、小さい時と変わらず。

お前はいつも無造作に歩く。

まずは足元をよく見ろ。』

「足元?しゃべるつる草。

もしかしてお前は僕を助けていたのか?」


意思を持つ、つる草。

対処法「ありがとう。」僕は口に出す。

鼻をつく、ミドリのつる草よ。

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