第3話

僕が真奈を振った日から、彼女は学校に来ていない。もう1週間以上が経っている。



(あいつ、本当になにやってんだ…)


原因は恐らく僕だろう。


依存から脱すると決めたけれど、流石に心配になってくる。



(メールでも入れるか…)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あ…もう9日休んでる。」


紅葉から別れを告げられた日から、僕は部屋を出ていない。


あの日の朝、そのまま僕は家に帰り、部屋に閉じこもった。


なんであんなことを、ああすれば、こうすれば。


そんな考えが無限に浮かんでくる。


胸を締め付けるような痛みが数日続き、僕の目から涙が止まることは無かった。



思えば、僕は紅葉に思いをハッキリと伝えていなかった。だから、僕のあの時のセリフを間に受けてしまったんだろう。


当たり前だ。十割自分がわるい。



あの時、僕が変なカッコつけで彼を『男避け』なんて口にしたから。



「うぅ…」



思い出しただけで吐き気が催してくる。


紅葉に会いたい…。また、前のように楽しく笑いあっていたい。



でも…あの時の紅葉の目は、冷たかった。


もう僕への熱は冷めた。そう言ってるかのようだった。



「会いたい…会いたいよぉ…………。」



また涙が出てくる。

食べ物も、ほとんど喉を通らなかった。食べてもすぐ戻してしまう。

精神的にも肉体的にも限界だった。



後悔という言葉では収まりきらない、そんな感情が僕の心で渦巻いていた。




そんな時メッセージが来た。


送り主は…紅葉。急いでスマホをタップした。



『早く学校に来いよ。』


ひとことだけだった。


なんて無責任なんだ。誰のせいだ。そう一瞬思ってしまう自分を殴りたい。


悪いのは僕なのに。


「なんて返そっかな…」


自分でも驚くほど震えた声が出た。


送り返す言葉が見つからない。


今の僕に彼にメッセージを返す資格は無いんだ。


そっか。







絶望しかけたその時、僕はある事を考えついた。



「そうだ、紅葉が嫌でも私と離れられなくしちゃえばいいんだ。」



紅葉が、私の傍から離れられなくなるような状況を作る。



でも、どうすれば良いのだろう。

小一時間ほど悩み、ある考えが浮かんだ。


最低な方法。紅葉を傷つけてしまうような。


だけど、これしかない。


「時間はかかるけど、この方法にしよう。」


それを実行するには早く学校に行かなければ。


思わず笑みがこぼれた。


「待っててね、紅葉。」

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