第3話 ティータイム




 青と灰の左右非対称の髪型、橙の丸型のサングラスを身に着ける細身で長身の男性、通称ドクター、名を祇園ぎおんと言う。

 紅の竜をマスターと呼ぶ人造人間、外見は少女、咲茉えまに身体の機械化を依頼されて以降、定期的に咲茉のメンテナンスを行っていた。

 基本的に咲茉が祇園のアジトへと赴き、メンテナンスを行っているのだが、祇園が出張メンテナンスを行う事もあった。




「呼ばれて飛び出てじゃんじゃじゃーん。俺様が来てやったよ~ん」

「まだそなたのメンテナンスの日取りではないが。まあよい。ちょうどティータイムである。馳走になって行け」

「ラッキ~。今日のティータイムのメニューは何だ?ぜん


 善と呼ばれた無精髭で骨太で体格が逞しいオッサン、もとい、人化した紅の竜は、白桃クリームのカンリーノ、白桃ゼリー、白桃とレアチーズのタルトと言った。


「おお。桃尽くしか。季節のものだもんな。うんうん。楽しみだ。貴様の手料理はどれもこれも美味いからな。いや~。咲茉はいいところに住み着いたものだ。そのおかげで、俺様もこうやってご相伴に預かれるというわけだ」

「そうだな。吾輩の手料理をその腹に収められる事ほど誇れるものはない。咲茉が居てこそ。そなたは咲茉への感謝の気持ちを形にするべきだな。例えば。メンテナンス代を生涯無料にするなど。な」

「はははははは。今日もまた冗談が冴え渡っているな」

「クハッ。ハッハ。そうであろう」

「はははははは。目が怖い怖い」

「ハッハッハ」

「はははははは」












(2024.8.8)



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