ぼっち系女子、友達を作ろうと頑張ってみた結果、修羅場発生で大困惑。

チョコク

第1話ぼっち系女子、頑張ってみる。

私、音瀬おとのせ氷織ひおりはぼっちだ。

中学生三年間という貴重な時間を一人で過ごした寂しい女なのだ。


いや、何も私だって望んでぼっちになったわけじゃない。

ちゃんとした理由があるのだ。

その理由を一言で表すとするならば私が他者と関わるということを

甘く考えていたということだ。


私には父親がいない。つまり母子家庭というやつだ。

父親は私が幼い頃に病気で亡くなってしまった。

物心もつく前だったし父親の顔もほとんど覚えていない。

それゆえに私は母と二人で今日まで暮らしてきたのだが、

私の父親である夫を病気で亡くした母は絶望に明け暮れることなく

私を育てるために仕事をしながら私にたくさんの愛情を注いでくれたのだ。

そんな母のことが私は今も大好きだし、いつか親孝行として今までの恩を

返せたらなと思っている。


しかし母親の愛情を目一杯に受けて育った私は、いつしか自ら誰かと関わりを

持とうと動かずしても誰かが話しかけてくれたりするものだという風に

考えるようになってしまっていたのだ。


その結果友達と言えるのは一人もおらず、lineの友達のところには親族と

公式アカウントのみというなんとも寂しいことになってしまった。

このままではまずい。

そう思ったのも束の間、私の中学三年間という貴重な時間は過ぎ去って

しまっていたのだ。


しかし、先ほども言った通り私だって望んでぼっちになったわけではない。

私だって放課後に友達と遊びに行ったり、休日に誰かの家で勉強会とか

してみたい。

だから私はこの高校三年間の間に失われた青春を取り戻すべく

自らいろんな人と関わりに行ってみようと思う。


(高校生活こそ必ずぼっちを脱却やるんだ

 そのためにもまずは誰かに話しかけられるように頑張らないと…)


「おかーさん。私、友達作り頑張ってみる(`・ω・´)」


「き、急にどうしたの?ひーちゃん?」


私の唐突な宣言に戸惑うこの人こそ、私の最愛の母こと

音瀬おとのせ小春こはるだ。

長いストレートの黒髪を後ろでひとまとめにし、セーターを着て

エプロンをしており、おっとりとした垂れ目で胸もすごくすごい。(語彙力)

私が贔屓目なしに見てもとても綺麗で可愛いと思う。


「私、中学三年間ぼっちだったでしょ?」


「確かにそうだけど…、どうしてなんでしょうね?

 ひーちゃんはこんなにも可愛いのに……」


「まあ、私の可愛さについては一旦置いておいて…

 私、高校生活こそはぼっち脱出して友達を作りたいんだ。

 でもいきなり知らない人に話しかけるなんて今までぼっちだった私には

 ハードル高いし……」


そう。友達を作ると意気込んだはいいものの、ついこの間まで

自ら話しかけに行くことなんてしなかった私にとってはハードル激高なのだ。


「うーん、そうねぇ。

 それじゃあ、お母さんと一緒にお話しする練習しようか?」


「うん。ありがとうおかーさん。だいすき。」


「私も大好きよ!ひーちゃん!」


そして、私は高校生活をリア充として過ごすべく

おかーさんと練習を始めたのだった。


(なんとしても高校生までにいろんな人と話せるようになるんだ!)

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