ありがとうと愛しているを。

 なんと素晴らしく残酷かな運命!

 燃え尽きる寸前でわヲん・ノアは私を自身から切り離した!

 どうやら破壊者の双子は、一蓮托生であるらしい!

 わヲん・ノアは、そこまで知っていた!

 また私のことすらお見通しだった!

 そしてただ思いっきりまっすぐに、青き母星へ私をぶん投げたのだ!

 私がちょうど野球の白球ほどで、投げやすかったことは幸いである!

 おかげさまで彼から預かったメッセージを届けられた!

 よくあんなぶん投げにあって、燃え尽きず残ったものだ!

 わヲんの影響で芽生えた私の信念がそうさせたんだろうか!

 百億で終わる宇宙!

 これがいったいなんであるか!

 星の数か!

 宇宙の膨張速度か!

 単純に金の話なのか!

 それとももっと理解しがたい含意があるのか!

 わヲん・ノア!

 いや、わヲんと常に一心同体といってよかった私もしょせんは人類の作った装置!

 どうしてもくみ取れなかった!

 またこのメッセージとともに私が、辿り着いた場所!

 なんという奇縁だろう!

 それとも彼がここを望んだのか!

 座標からして、彼女の盛り土があったところ、ドストライクであった!

 だがどうやらウラシマ効果のせいだろう!

 だいぶ時が経過して、あの盛り土の場所には大樹がまた佇立している。

 そのてっぺんの枝ぶりのひとつに引っかかって絶景かな!

 夜で山並みはどこまでも続く!

 星々も天上で果てしない!

 そのさきで赤い戦火が夕焼けのように昇っている!

 まぁ、山火事かもしれない。

 もしかしたらレミファの仕業かもしれない。

 ロボットを作って人類反乱軍を作ったのかもしれぬ。

 あるいはホヘトがまた正義か悪かもわからぬことを信じてやっているか。

 私は、どうやらわヲんのよくない妄想狂も移ったらしい!

 はじまりはただ彼の心や、その他もろもろの見聞をホヘトへ報告するだけの装置!

 それがいまや立派に、人並みなことを考える!

 単なるモニタリング機械が、いまは散っていった英雄のため哀愁にくれている!

 衛星圏にきた時点で、人類はこの電波を受信しているはずである!

 彼の守った人類が!

 星が!

 心が!

 聞いてくれたなら私の役目は終わったのだ!

 けっきょく!

 正義なんてこの世にあるのか!

 愛や友情や心なんて目にも見えない曖昧なものがいまでも在るのか!

 私にはわからなかった!

 おっと、まずいな。

 そろそろ予備のバッテリーも尽きるころだ。

 戦火も寝静まって良い夜。

 命のようにあらゆる星が燃えているじゃないか。

 では!

 さいごに私のこれまでの収集データ、いわゆるわヲん・ノアの伝記と、彼のメッセージを発信し、すべてがあってほしいという希望とする。

「きっと正義の味方はもういない。

 なにも正しくないなら、なにもかも正しい。

 なにもかも汚いと思うなら、なにもかも美しい。

 だから僕は伝えたい。

 すべての心あるものへ、

 あ……」

 電力供給が断たれました。

 モニタリングシステムを終了します。

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外レ籤あみだ @hazurekujiamida

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