猫の手も借りたいなら、まずじぶんの手を増やす努力から始めよ
「勝ったぞおおおおおあああああああああああ!」
ワンパターンである。
しかも一度負けを認めていざたまたま勝ててしまえば、ころっと掌がかえる。
典型的な小物である。
もちろん結果として勝っているかもしれない。
先生もう跡形もないのだ!
大勝利!
もうこのあとヒーローインタビューで、武勇伝を語る準備までできている。
ノアのあくびに助けられました! ノアさまさまですと元気のよい図。
ここまででわヲんは一転、情けなくなった。
ただ持ち前のポジティブと詭弁が、転ばぬ先の杖。
こういうとき便利なことばを字引きすれば、ふっと笑って、
「まぁ、ぜんぶ計算のうちだ!」
ださい。
背景を知れば知るほどとてつもなくださいが、当人は恥ずかしくならないのだ。
なぜならオリハルコンの心だから!
さて、自尊心の守りきって、周りをみよう。
ノアは荒野であった眩さほどでない。
小規模な事故みたいな爆発。
研究所の体裁なんてむしろ「鬱」が片付き、テレビの掃けてしまい綺麗になっただけ。
強いてこの光景の嫌さを見つけるとしたらなんだろう。
引っ越すとき部屋が空っぽになって、思っていたより広くなってさびしい。
みたいなところだろうか。
脱線はもどして、勝ったと思っているらしいが、ぬか喜び。
「まったく制御のきかない小僧とおてんばだ」
というのは、先生の声で間違いない。
あんな陰湿で、沼がしゃべってますでも通る性質のものは先生である。
まだ生き残っている、いやまだぜんぜんそちこちで輝いている液晶が先生顔ばかり映す。
どこまでも先生なのが圧巻!
とともに、ホラーである。
いまにも画面から出てきそう。
しかし残念ながらどれも3D対応ではなく、ホラーがわも出てくるつもりもないらしい。
「さっきの先生は?」
「ロボットだよ。まぁもはや私もいろいろ改造してロボットだがね」
「え? さっきの先生がロボットで、先生はでもロボットで、ロボットがロボット」
循環論法で目の回してしまうと、片膝をついた。
大きな損傷のように頭を押さえる。
そしてロボットとは、人生とはいったいと疑問であった。
だいたいの疑問は、人生とはに到達するようにできているのでこの立論はまちがっていない。
けれど人生へ迷っている場合でない。
人生はなんらかの下知がくだるのだから。
「ともかくお前たちは、私の力作として悪を倒すのだ!」
「いやだ! 僕は僕の意志で悪を倒すのだ!」
「ならばけっきょく悪を倒すのではないか?」
「それもそうか!」
すなおは誰でも持ちえる最大級の徳である。
それらしく適当に言ってみた。
では、ここで素直になった人がいや待てよと始める思考回路をみていこう。
「いや待てよ。僕は騙されていないか? 僕の意志は悪を倒し、世の平穏を守ることだ。先生の意志はきっと同じだ。けれどやり方をみれば、娘へのしうち酷いものだ……。ところで人生とは……」
ほら、すべての疑問は人生へぶち当たって、墜落して消えるのだ。
そして最後には、
「うん、わからないから考えないでおこう!」
思考停止である。
「よしではノアよ。わヲんを案内せよ」
娘に命令する父親の姿は、あきらかに悪である。
それへ従おうとする娘なら、ほんとう報われぬ愛情であり哀愁がある。
ただ思考停止すると大方の人、またはロボットであっても、
「まぁ、いいか」
で済ませてしまう。
宿題やらなきゃ、部屋掃除しなきゃ、就職しなきゃ。
こういうときこそ、わヲんのこの台詞を使うときである。
きっと肩の荷がおりる。
やがて気怠くなってぐうたら。
気が付けば夕暮れを眺めながら後悔のため息が深いだろう。
ということだから、わヲんは思考停止の犬となった。
悪をやっつけるため、ノアとこれからめくるめく冒険をする!
のまえに、先生いわく、
「まあ、まずは説明がいるな」
だそうである。
ざんねんだ。
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