お前の足は何色でもいいが、俺は青だ。

 なにもかも終わったが、再開しよう。

 ここでひとつ補足だ!

 わヲんの設計コンセプトは、

『オリハルコンの心! オリハルコンの肉体! オリハルコンの学ラン!』

 である。

 よって、頑丈である! 石頭である! 黒の学ランである。

 具体的には世界中の核弾頭を搔き集めた、そのうちひとつか、ふたつ。

 いやがんばれば、三つか、四つか耐えられる。

 なので眩い光で、ねじ一本も残らず一掃された九十九体ざまあみろ。

 果てしなくへっこんだ荒野。

 このクレータのど真ん中、ぽつねんと残っているわヲん。

 彼は晴れ間の光線を受け、

「勝ったぞおおおおあああああああああああああ!」

 とやはり叫ぶ。

 おまけに涙だってつける。

 まったくバリエーションという言葉を学んでほしい。

 さて、このそばで女神の立っていた。

 わヲんも気づいて頭を下げる。

「ありがとう! ノアさん、君のおかげで勝てたぞ!」

 みつめてきて黙っている。

 大きく紅玉でも埋め込んだ瞳が覗いてくる。

「どうかしたのか?」

 小さな手が、なんとわヲんの手を繋いでくる。

 思わず動力部が太陽フレア、いやそんなのちゃちだ。

 ここはビックバンといって過言ではない!

 しかしインフレーションしてはいけない。

 よって繋いでくれたのを投げつけるように断った。

「なんだ急に! ダメだ! 僕は先生の作った正義のロボットだ。君は先生の娘だ。たしかに見た目年齢こそ君とつりあって十六の男子だが、ダメだ!」

 これはきっと禁断である!

 ちなみに手をつないできた程度で、わヲんはそう思い、なんなら披露宴にまで妄想を驀進させた。ありきたりにも教会の鐘がおひめさまだっこを祝福していた。

 どうやら脳回路もビックバンである。

 少女はここで否定的な首振り。

 がぁんと思い描いていた宇宙体系は、脆くも崩れてひっくり返った。

 するとさすが超合金、熱しやすく冷めやすい。

「まぁでも冷静に考えれば、女は星の数ほどいるんだ!」

 そしてすばやい自己弁護だった。

 最低である。

 世の女、いや恋や愛を知っている人たちすべてが敵になったと考えてよい。

 すべての人類を敵にしたロボットへ、その人類の総括のよう侮蔑の赤い目が向けられる。

「冗談ですがな」

 おどけたとて、過去は帰ってこない。

 ふんとノアはどこへやら去ろうとする。

 待ってと復縁を迫る男のような体たらくになるわヲんへ、帰還の連絡であった。

「あ、そうか、帰還を伝えに来てくれたんだ」

 ノアはやっとかとため息交じり頷く。

「けどだったらしゃべっていってくれよ」

 図星。

 なにかわからないが、言葉の剣で刺してしまった。

 彼女はどよぉんとした。

 女神はどこへやら、もう幽霊だった。

 もう空は晴れていた。

 しかし人の心に空模様があわせていたら、大変なパニックだろう。

 よってこの空の晴れは、ここに出てきているふたりのものでも、だれのものでもない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る