アドレナリンって、あんまり出したくないんですっ
今回の話、珍しくグロ注意です
運営に怒られたら修正すると思います
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「はいど〜ん!」
「ドォォォン!!!!」
私の間延びした声で発射されたレールガン(仮)の弾丸。それは一見木々に無意味に放ったように見えますが……その直後、研究所の光学迷彩が解除されたのか、着弾点を中心に木々の景色がノイズを発しながら消えていきます。
そこに見えたのは、テニスコート二、三面分はありそうな広大な平地と、武装が張り巡らされた壁がそびえ立ち……その奥には巨大な研究所が建っていました。
「Fire!!!」
すると光学迷彩の後ろで待ち構えていたのか、ARCが雇った傭兵部隊が一斉砲火をしてきました。
「ドドドドドドド!!!」
「ぴゃあぁぁぁ!?」
私は慌てて木々に隠れ、射撃をやり過ごそうとします。少し周りを見渡すと、あまりにもな物量に、お仲間さん方が突撃出来ていませんでした。
「……しょうが無いですね」
「キンッ……」
私は持ってきていた手榴弾のピンを抜きながら敵方の様子を遮蔽越しに見つめます。
相手側はほとんどがサブマシンガンで統一されており、遠巻きからみるにAK-47っぽそうです。壁の武装もほとんどがマシンガン。
特に改造も何も見当たらず……いけますね。
「ほっ!」
私は木の影から出た後、傭兵部隊が砲火しているド正面を突っ切ります。
「はははっ!!ぬるいぬるい!!その程度の火力しか出せないんですかぁ!!」
頑丈……と形容するには少しかけ離れた耐久力を使い、私はそのまま傭兵部隊の最前列にたどり着きます。
いけませんね、少しアドレナリンが出てきてハイになってきました。
「ほらっ、死に晒せぇっ!!」
そしてピンの抜けた手榴弾を握りしめ、一番近くにいた人をぶん殴ります。
「ドォォン!!」
間近で聞いた爆発音に少しうんざりしながら、私は爆発で飛び散った肉塊を拾って握りしめます。
「はむっ」
そして一口。淡白ですね……50点。まあそんな評価はさておいて――
「今から地獄を作ってあげましょうか……」
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彼女が暴れる光景、それは厄災そのものであった。
「あっはぁ!!ほらいい声で鳴けよぉ!!」
なぜこうなっているのか、それは彼女が使う『一重の眼』によるものであった。
その眼は能力の都合上、レールガン(仮)などの物体を取り出す際に、想像もつかないような激痛に苛まれる。それによる自己の喪失を防ぐのがこの状態であった。
最も、それ以外にも様々な要因が重なっているのだが……。
「無様に惨めに何も出来ずに死ねぇ!!」
彼女が一言発するたびに爆発が響き、銃声が飛び、赤い飛沫が舞い散る。紅白のパーカーは赤一色に染まり、パワードアームは手の平の部分が焦げていた。
「もっとだ……でもここは飽きた……」
そう言うと彼女は濁ったレモン色の眼を今までよりさらに輝かせる。僅かに、皮膚が剥げる音がした。
「さっきカニバリった奴を使っても足りないですか……でも誤差ですね」
すると彼女の眼の前に幾何学的な魔法陣が浮かび上がり、それと同時に何かが木々を薙ぎ払ってこちらへ向かう音が聞こえる。
「潰れろ」
彼女がそう言うと、平地の左右から無機質な灰色の壁が出現する。三メートルにも及ぶその巨大な壁は、勢いの落ちることを知らず、やがて二つの壁は衝突し合う。
「ドンッ!!!」
潰れゆく肉の出す悲鳴は届かず、そのまま押し潰される。
「ふひっ……えへへぇ!」
それを見て恍惚とした表情を浮かべる化け物。彼女は武装を破壊し尽くされた研究所の壁の前で、ただ彼女が生み出した壁を見続けている。
研究所の入口は、化け物だけが残っていた。
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