私は、私こそは……甘味なのですっ(?)
「んっ……んん〜!」
あの後無事に神社に帰った後、ぐっすりと寝た私は陽の光を浴びてむくりと起き上がります。
最高の朝ですね〜。これでお布団で寝れていたらもっと最高だったのですが……。
そう思いつつ私は自分の寝具を見つめます。理想とするお布団とは程遠い、赤い寝袋。寝袋の中には、対物ライフルやレールガン(仮)、リボルバーが入っています。
寝起きの目を擦りながら周りを見渡すと、いつもの神社の光景が見えていました。
腐り始めた木材が建材として使われている部屋で、床にはクーラーボックスとバッグ、壁には突っ張り棒があり、突っ張り棒には私の服が何着かハンガーにかけて干されてあります。そしてテーブルとイスがあり、テーブルの上には散々使ってきた無線機と、最近置かれたFAXが使えるプリンターがありました。
私はいつも通りの光景に安心しながら、パジャマから普段着に着替えます。
いやぁ、前回は本当に危なかったですからね。あやうく今までの生活がパーになるところでした。
それはさておきなのですが、本日も本日とて仕事があります。バイト……と脳内変換して現実逃避も出来ませんし、バイトが……そうバイトが出来ません!うわぁん!
「嫌です私はバイトがしたいんです!バイトをして平和に過ごして無職フリーターで小さな幸せに満足出来る独身おばあちゃんになって逝きたいんです!」
*わたし の ひつうなさけび!
しかし こうか は なかった!
「はぁ……」
取り敢えず仕事に行く前に、何か心を癒すものでも買いにいきましょうか。
――――――――――――――――――――
心の癒し、もとい甘味を求めて……私は中央区にある『
私が前に行ったことのある、森崎喫茶さんもここの商店街の裏路地も裏路地、すんごい見つけにくい所にあるみたいですね。
そして私はその商店街で、最近オープンしたというケーキ屋さん、『SweetNess』という店の店内で立ち止まっていました。
「こっ、これは!?(小声)」
そこにはこの時期限定の果物を乗せた「夏のフルーツケーキ」というケーキがあります。もう買いですね。だって私フルーツケーキ好きですもの。
「会計お願いします!」
「かしこまりました」
良いですか。フルーツケーキというのはですね。一口頬張った瞬間に果樹園が広がるんですよ。スポンジという土の上や、クリームという水の上に果樹園が広がるんです。そこには沢山の果物が育ててあって、私はフルーツケーキを一口頬張るごとにそこにある新鮮な果物をありがたく、食べていくんです。
「保冷剤は要りますでしょうか?」
「いりません!」
でも果物をただ食べているだけでは胃がもたれてくるでしょう。しかしフルーツケーキはそのニーズにも答えてくれるのです。フルーツケーキは甘さを抑えてくれるスポンジやクリームがあります。
「お会計、1000円になります」
さあ、皆様もフルーツケーキ最高と叫ぶのです!この素晴らしき甘味のバランスが奏でる
「毎度、ありがとうございました」
そしてそのまま私は店を出ました。いやぁ、脳内で言いたいことを言い切ったので心なしかお肌がツヤツヤしてますね。
いえ……フルーツケーキを買ったからでしょうか。まあどうせ誰も心の声なんて聞いてないですし大丈夫でしょう。
さあ、フルーツケーキを昼ごはんにしたら早速仕事の準備をしましょう!
これから忙しくなっていきますよ!
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