学校……?なにそれ美味しいのですかっ

「ふぅ゛ぅ゛……」


 空が茜色に染まる頃、パワードアームの容赦ない排熱も収まり、私は一呼吸つきます。何だか最近は目まぐるしい展開が続きますね!何ででしょう!


「パワードアーム、停止」


 取り敢えずですが、私は腕の火傷を確認するために、排熱の済んだパワードアームを脱ぎます。


「うへぇ……」


 そこには、過剰な熱を受けて焼け爛れた皮膚がそこにありました。しばらくすれば治りますが、今日のバイトはちょっと厳しいですね〜。


「それじゃあ戻る前に……」


 私は壊れた機械の中にあった小さなカプセルをポケットにしまい、おやっさんにバイトの切り上げを頼むため、壊れた機械の入った金属の塊を持って早々にこの場を立ち去りました。

 いつもの荷下ろし場に戻ってくると、すっかり荷物がいなくなり、機械などの片付けを行っている人が多々見かけられました。

 私は金属の塊をきっちり所定の位置に置いた後、おやっさんのところに向かいました。


「おやっさ〜ん」


 私が間延びした声でおやっさんに話しかけると、ちょっと驚いたような表情を見せました。


「おっ、嬢ちゃんここにいたのか。いきなり姿を消したから、ちと焦ったぜ」

「いやぁ、ちょっとパワードアームを使い過ぎちゃいましたからね」

「火傷か、珍しい」


 するとおやっさんは少々考え込み、やがてこう言います。


「……分かった。いつも世話になってる礼だ。きっちり仕事はしてくれたし、同じ報酬を出すから、今日はゆっくり休め」

「良いんですか?」


 私は思わず驚きました。


「なぁに。元々はこのおろし作業、一日フルで働いて終わるかどうかってんだ。嬢ちゃんのおかげで夜になるまでに帰れるなら万々歳ってもんよ。だから受けとんな。ほれっ!」


 そういうとおやっさんは金一封を私に差し出します。


「1、2、3、4、5……あれぇ、ちょっと多すぎないですか?」

「お高いパワードアームわざわざ持って来て、あそこまで働けるやつがいるかっつうの。ちったあ自分の価値を考えな」

「な、なるほど」

「さ、帰った帰った」


 おやっさんは私のバッグを私に押し付け、その場から離れるよう催促します。半ば強制的にその場から追い出され、私は帰路につくことにしました。

 とぼとぼと金一封をバッグに入れながら帰路につく私の横には、ガタンゴトンと音を揺らしながら貨物列車が通っています。


 西区総合物流センターから中央区を通り、そこから一気に別れて南と北へと線路を伸ばすこの路線の名前は「起眞中央線きまちゅうおうせん」。その名の通り起眞市のインフラの中心的存在の一つで、貨物列車以外にも電車が良く通っていたりします。

 私も使いたいんですけどねぇ……。お金無いし依頼人さんが電車に頼る暇があるなら走って鍛えろって言ってきたりして使えないんですよぉ……。


 酷くないですか!?西区から一気に咲森区付近まで500円と1時間半ぐらいで行けるんですよ!?対した労力も掛けずに!


 私も普通な学生だったら、こういう路線とか使って学校に通ってキャッハウフフしたりとかして、今頃中学3年生か高校1年生なんですよね〜。

 J○とJ○ですよ!夢ありますよね!


 そう言えば、余談なんですが、明日中央区辺りで夏祭りがあるらしいですね。

 高校生の男女が?甘酸っぱい青春の非日常を?夏祭りという特別な思い出で?埋めていくんですか?キスとかあ〜んとかしたりするんですかぁ?


「うがぁぁぁ!!!」


 はぁ……はぁ……あ〜あ、そんな青春もまかり通らないARCと世の中はク◯ですよ◯ソ。あ〜お酒飲みたくなってきました。


 いっそ戸籍捨てて学校にでも通ってみましょうか?近くにあるのが……起眞市立高等学校でしたっけ?あそこ偏差値71っていう化け物高校でしたね。ユミーさんは偏見ですけど通っていそうですね。

 通えなくも無いので通いたいですね!でもどうしましょう!お金が足りませんね!バイトのシフト増やしますか!

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