第三章〜生誕パーティー襲撃編〜

005話 「襲撃者・前編っ!」

時刻は月が昇った頃、要は夜である。窓から見える月は綺麗な正円だ。

そしてパーティーの準備も終わり着々と会場に人が集まってきた頃。


鏡台の目の前で俺は顔にパンパンと何かが塗りたくられているのを見ていた。そう、化粧である。


俺は別に興味がないのだがレイさんが「化粧しないと他の人に多分言われますよっ!」と言われたので渋々オーケイした。


まあ自分の顔が少しずつ変わっていくのは面白いもので


「お、おぉ。け、化粧ってすごいね」


「ええ、そうですわ! 元々ルシアはお顔がお綺麗なので薄い化粧にしましたの。」


あのフリフリドレスを着た後、俺は『オバはん』にそう言われた。これを見るともう化粧をしている顔は信用しない方がいいとつくづく思う。


そしてなんで女性達が化粧に何時間も時間をかけているかがよく分かった。


自分で言うのもなんだが、元々顔が整っているので薄い化粧でも大変似合ってる。


「とてもお綺麗ですっ、いつもはルシア様は幼い顔をしていますが、これなら大人の中の大人の女性と言っても過言ではありません!!」


「流石にそれはないと思うけどね?」


レイさんが過激に褒めてくるのが少し恥ずかしいが、流石に大人の女性は行き過ぎな気がする

ちなみに変 態レイムンドはルークさんに用事があるとか何とか呼ばれていたので心配する必要はないだろう。


「いいですか、ルシア様は六女なので他の貴族の方々とはあまり会ったことがないと思います。」


「まあ、そうだね。」


俺が他の貴族に会ったことがあるのは赤ちゃんの頃と五歳の生誕パーティー、後は長男であるアーリウスお兄様の十五歳生誕パーティーぐらいな気がする。

本当はもうちょっとあると思うが大体は……って3回しかないだとっ!?


「今回は近隣の貴族合計14家がパーティーに参加されます、くれぐれも失礼のないようにお願いしますね。その他王族の方やその他も合わせて沢山の方が来ますので頑張ってください。ルシア様なら大丈夫ですっ!」


レイさんが両手を握ってガッツポーズを取ると、「大丈夫ですよ」と言ってニコッと笑う。


「大丈夫ですワ」


「なんか語尾が変ですけど?」


マナーの授業でやったとはいえ使うのは久しぶりなのだ。

これぐらいは勘弁してくれ


「ルシア様、もう時間です! 早く行きましょう、主役のいないパーティーなんてありませんよ?」


「このリリアン、感激ですぅ!」


するとさっきのオバはんが意味を分からないことを言っている……


「ドレスに足を引っ掛けないよう、注意してくださいね?」


「わかっておりますワ」


別館にある会場へと向かっている途中、レイさんがさっきの事で笑っていると、のイケメンが居た。


「あ、アーリウスお兄様!」


「ルシアじゃないか、十歳の誕生日おめでとう」


「ありがとうございます、お兄様。」


目の前にいるのは現在十七歳のアーリウス=リィ=ウィリアスである。学力共に剣術優秀と隙のない能力に比べ、さらには火魔法、炎魔法の上級魔術を使えるというとてつもない才能の持ち主。


そして次の当主として非常に注目されている存在がこのアーリウスお兄様である。


「それじゃあ僕はお父様に呼ばれているから失礼するよ。」


「はい!」


静かな廊下を渡る。前世でもそうだったのだがなぜ、パーティー会場に続く廊下は静かなんだろう? と言うことだ。なんか……わかるよね? あの静かな感じ。


「ルシア様、早くこちらに」


「あ、ファイさん」


会場の入り口に到着するとファイさんが手を仰ぐ、会場からはもう何かが行われているのか生演奏である音楽が流れていた。


『お待たせしました! ルシアお嬢様の、ご登場です!』


すると会場アナウンスのようなものが流れる

ってもう行くの? いや、行くしかないっ


「ほら、早く行きましょう?」


扉が開いて最初に目に映ったのは、華やかに装飾された会場だった。


天井に吊るされたお父様の大好きな(多分)シャンデリア。もちろんでかい。

準備の時には無かった魔法によるランプが宙に浮いていた。

さらにパーティー会場には準備の時には無かった沢山の料理が並べられていた、当たり前だけど。

先ほど入口の前で聞いた演奏よりも迫力が一回りも二回りも違う演奏は圧巻だった。


俺はレイさんと共にパーティー会場に足を踏み入れた。その瞬間、会場内がざわめく。


え、なんかした? あ、主役だからか☆


「あれが噂の六女? 思ったよりもドレスがお地味ね」

「まだ男爵家ご令嬢のドレスの方が華やかだわ」

「まあ! なことで」


するとコソコソ話のつもりか分からないが悪口のようなものが俺の耳に沢山飛び込んでくる。あの人たち絶対聞こえる声で言ってるだろ? とレイさんの目を見ると、目で合図された。


なんだ、俺には分からんぞ?


すると小声で「だからだいぶ控えめにしてあると言いましたよ?」とレイさんに言われる。


おお、そう言うことか。


パーティーに来ている着飾った女性たちのドレスを見ると、胸が異常に強調されていたりフリフリの量がすごかった。

ほうほう、地味だとわーきゃーわーきゃー言われるのか?


すると貴族の人混みの中から茶髪の高身長男が俺に向かってくる、どこかで見たことあるような男は俺の前に来ると話しかけてきた。


「ルシア様。私、二女のエメリアの婚約者、侯爵家のアダム=ロウ=レシリドと申します。」


思い出した、確か去年一回顔を合わせたことがある。

するとレイさんに指で背中を突かれる、適当に相槌でも打っておけということだろうか?


「えっと、お初目にじゃなくてえと、ルシア=リィ=ウィリアスと申します。お姉様がお世話になってます?」


出来るだけ礼儀正しく、淑女の礼カーテシーをするとレイさんに背中を突かれながら睨まれる。

?を付けたのがダメだったのだろうか?言葉は乱暴になっていないと思うのだが……


「はっはっ、君は面白いね。流石はエメリアの妹だ。」


「そう、でしょうか?」


これはお嬢様言葉なのか!? くそっ、わからんっ!

すると噂をすればと言った感じでエメリアお姉様がやってくる。


正直俺は苦手だ。エメリア=リィ=ウィリアス十六歳。

第一妻から産まれたのをいい事に、いつも俺と会うと「礼儀がなってないわね、これだから庶民の子供は。フッ重要」とか言って俺のことを攻撃してくる。


俺がとやかく言われるのは構わないが、母を侮辱するのは許せない。

それと多分俺が五歳の頃に喧嘩をした時


『そんなに食事を食べてるから何じゃないですかね?』


と言いったらブチギレられた。


レディに対して体重のことをとやかく言うのは男として少し戸惑ってしまったがあれはしょうがない。

エメリアも俺に対して「もうちょっと食べたらどうですかぁ?」とムカつく口調で言ってきたのだ。


お互いさまである。それから俺は少し苦手になったのだが。


ここ一年程は全寮制の学園に通っていたので会う機会が少なかったのだが……そんなことは置いておいて目の前にいるお姉様の目を見る。


「お久しぶりですね、エメリアお姉様。また少しふくよかになりましたこと。」


「え、え“ぇそうね。のお食事が美味しすぎて食べすぎてしま“ったわ。ルシアも入学したら食べてみるといいですわ」


もしかして、婚約者の前じゃ強気になれないの?

フハハハハ! ならもうちょっとイジっても…


———その時だ


ドォ“ッカカァ“アアアン!!!


凄まじい爆発音と共に会場内が暗闇に包まれた……


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ちなみに現在pvがあと一歩で400です!!! なろうじゃ7000pv突破してるんですがどういう差なんでしょう?

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