002話 「第六王女に転生したっ!」

転生してあと三日で十年になる、この世界の文化にも慣れて来た。


未だに言葉使いは治らないけどね☆


豪華なシャンデリアが何個も連なり、そしてとにかく豪華な装飾がしてある長い廊下。そして女性のメイドが運ぶリズムある食器の音が心地良く響く。


「「「おはようございます、ルシア様!」」」


「あ……うん、おはよう。」


目の前にいた女性のメイドが俺に深々と頭を下げるとすぐに自分の仕事に戻る。忙しいだろうと「一々頭下げなくても良いよ」と言ったのだが「「「メイドとしてそのような無礼は出来ません!」」」と返されてしまった。本人が言ってるんだから良いと思うが、そう言うものなのかもしれない。


窓を開けると鳥のさえずり、緑の香りが廊下に広がる。ここの窓の外には大きな庭があり目の前には大きな噴水がある。

少し風が吹くと綺麗な白髪の髪がなびいた。


とは言っても歩く際とても邪魔なので短く切っているが。


「る、ルシア様ぁー!」


とても心地の良い空間に突如として俺を追ってくる一人の女性の姿が見える。

彼女は俺の教育係を担当しているメイドのレイさん。明るい蒼色の髪をしたとても明るい女性である。

面倒見がとても良く、懸命に俺のために働いてくれているのだが、そこが少し残念なところでもあって


「はっ、そんなに俺の事をパーティーに出席させたいか!」


するとまた言葉が荒い! と注意される。男として二十二年、女としてもこの言葉を使い続けて十年、合計三十二年はそうそう変えられるもんじゃない。


「いえ、ルシア様がどう言おうとこのパーティーの参加は絶対ですっ! どこに主役がいないパーティーがあるんですかっ!」


するとレイさんが俺の服の袖を掴んでどこかへ向かおうとする。


「うわっ、ちょっと転ぶっ!?」


するとパッっと離し、「申し訳ありません!」とペコペコ頭を下げ始めた。

うーん、しょうがない。


「わかった! パーティーは参加しよう」


「本当ですかっ!?」


しかし一つ、譲れないことがある。


「だがフリフリの付いたドレスは着ない! あれを着るぐらいならまだ全裸で行った方がマシぐらいになっ!」


ドレスを着ることに抵抗はないがフリフリ満載まんさいのあれはダメだ。流石に心の中の男のプライドに傷が付く。


「そうですね、うーん。それじゃあシンプルなデザインのドレスにしましょう!」


「シンプルなデザイン……フリフリは付いてないよな?」


「ええ、もちろんです!」


シンプルなデザインなら心の中の男のプライドも守られるはず。


今更感があるがパーティーとは俺の十歳の誕生日を祝う日であり、基本的にデカいパーティーは五歳、十歳、十五歳と五年ずつで行われる。なぜだかは分からんが五は縁起のいい数字らしい。


まあ、俺の場合は毎年毎年家族で祝うのだが問題はパーティーの規模だった。それはもう、あちこちから人を呼んでそりゃあ主役である俺はとりあえず疲れる。それが五歳の頃の記憶だった。


さらに着せられた服も問題だった。

フリフリがたくさん付いたピンク色の服だったんだ。

もうあれでどれだけプライドに傷が付いたか……


今回はシンプルなデザインにすると言っているし大丈夫だろう。と言うかあと数日でドレスを作れるのだろうか。


まあ、気にしても意味がないのでさっさと朝食を取って———


「ルシアァ様ぁあ! このレイムンドがルシア様に相応のドレスを持ってきましたゾォ“おお!!」


嫌な声のする方向を見ると廊下の角から曲がってくる変 態レイムンドが見えた。キラキラと金髪をなびかせながらこちらに向かってきている。


両手には大量のドレスが抱えられていた。


「ちょ、周りの人が迷惑そうですよ。レイムンドさん!」


「はぁ。はぁ。それは失礼」


レイさんの注意を聞きながらネクタイを整えている。この変態は俺の教育係兼護衛でもあるのだが少し癖が強くことある毎にレイさんに注意を受けているのだ。


変態の抱えているドレスに目を向ける。


「おい変態、その両手に抱えているフリフリドレスはなんだ?」


俺はそう言いながらフリフリ満載のゴスロリドレスに指を向ける。


「まさか、俺に着ろとか言わないよな?」


「ええ! もちろんでスゥオボェ“!! ガハァ!」


俺は魔力をただ単にぶっ放した魔力弾を変態に撃った。


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