青年と3等級になった奴隷

 少しの時間が経って、元肉は奴隷学校を卒業しました。

 1等、2等が多くで揃う中、3等級は元肉だけです。

 くすくす笑われる中、青年は3等級の奴隷を讃えます。


「おめでとう、よく頑張ったね」

「ありがとうございます」


 くすんだメダルのネックレスを、青年から付けられます。

 他の奴隷のものより色も形も見劣りしますが、3等級の奴隷にはとても大切なものだと感じました。


「少し休んだら、また旅に出よう」

「ここでの永住は、しないのですか?」

「もう少し、数字を気にしない場所がいいだろう。なに、歩いていけばいつかそれなりの場所が見つかるさ」


 青年と3等級の奴隷は、また荷車をひいて旅に出ます。

 冬は過ぎ、暖かな日差しが2人の頭上に差し込みます。


「今度はどこに向かいますか」

「さぁ、どこがいいだろうね」

「良い国は見つかりますかね」

「きっとどこかにあるはずだよ」


 がたがた、ごとごと。荷車は軋みながら、草木が芽吹き始める小道を進んでいきました。

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