青年と学ぶ元肉

 元肉は奴隷学校に入りました。

 元々外見が悪く、器量も良くなかったので、学校での成績は最悪でした。

 肉としてしか生きてこなかったため、文字の読み書きもできません。

 しかし、等級を得るために必死に元肉は学びます。


「聖水のスペルは、こうですか」

「頭文字が惜しい。でも、あとは正しいね」


 そんな元肉に、青年は夜な夜な勉強に付き合います。

 ランプの灯りの元、少しずつ元肉は学をつけました。


 身につけねばならないのは、他にも沢山あります。

 掃除、洗濯、炊事に教養。身を守るための武術も少しばかり学ぶ必要がありました。


 元肉は宿屋の主人に交渉し、手伝いをさせてもらいました。

 元肉は学校で学んだだけでは出来なかった復習もでき、主人としてもタダで労働力が手に入ってご機嫌です。


 努力のかいもあって、成績もほんの少し伸びました。

 元肉の頑張りを青年は微笑ましく見ており、彼は彼で、蓄えを作っていきます。

 等級の国は、数字にこそ厳しくはありますが、それさえ得れば肉の国より過ごしやすいと言えるでしょう。

 青年は永住のことも考えながら、国の内情などを調べました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る