第56話
10月のある日、僕は地下鉄に乗ってショッピングセンターへ向かった。この日は土曜日で、僕は午前中に授業があったため、途中合流だった。ショッピングセンターのゲームセンターには、既にHMや数人の同級生が遊んでいた。思いがけず、遊ぼうと声をかけられて今回の集まりが決まったのだ。その晩は飲み会となり、相変わらず酔い潰れることになった。
それから約1ヶ月後、21歳の誕生日を迎えて間もなく、HMと共にいつもの焼き鳥屋でささやかな誕生祝いをしていた。僕が11月3日で、HMは11月28日と誕生月が同じであったことから、誕生祝いをしようということになった。
周囲の進路が決まっていく中で、HMはまだ進路が決まらず、一方の僕も脚本デビューをしたとはいえ、明確に就職先が決まったわけではない。このままどうしたら良いものかと、誕生祝いと言いつつもお互いの身の上相談の時間になっていた。
11月の下旬、予定が合せられないまま延期になっていた紅葉見物のために、僕はHAと共に鶴舞公園を訪れていた。さすがに紅葉の木は枯れ始めていて、僕は申し訳ない気持ちになった。
12月になり、僕は映画製作を行うプロデューサーとコンタクトを取ることができた。夜行バスに乗るため、僕は学校帰りにそのまま名古屋駅へ向かった。途中まではYMがスーツケースを運んでくれて、見送ってもくれた。夜行バスは朝方新宿へ到着、僕は田舎者丸出しで、慣れない東京を散策し、夕方には在来線を乗り継いで千葉県へと向かった。
ファーストフード店で、プロデューサーと初めての顔合わせをした。モデル事務所やアイドル事務所でのキャスティングも考えている中規模の映画であることを聞かされ、俄然力が入る。プロデューサーとの打ち合わせで、僕が脚本を担当することが正式に決定。YouTubeドラマに続く案件で、この時僕は就職ではなくフリーでやっていこうと心に決めた。
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