第55話
学生生活最後の夏休みとは言え、フリーペーパー制作や昨年同様歴史雑誌の編集長など、例年通りの多忙さであった。お盆前、たまには休み気分を味わおうと、YMの地元へ遊びに行くことにした。バイト先の居酒屋で食事をし、近くの健康ランドでお風呂に入った後、一晩YMの家に泊めさせてもらった。翌日には、YMの車で学校に向かった。車を使うのには理由があり、YMと僕が主催となって後輩たちと一緒にBBQをすることになったためだ。学校でBBQセットの貸し出しをしてくれるので、機材一式をYMの車に詰め込む手筈になっている。
数日後、僕とYM、そして自主ドラマを共に制作したNM、そして数人の後輩を引き連れて、香嵐渓という夏場はまさにBBQには最適で、秋には紅葉が綺麗な渓谷へ向かった。YMとの約2年ぶりのBBQはとても楽しく、おそらくこれが学生として楽しめる最後の夏休みになると感じていた。前日に支度して持参したチーズケーキも好評で、水遊びで全身びしょ濡れになったのも良き思い出となった。
また、夏休み終了直前の8月下旬には、HAからビアガーデンに誘われ、フリーペーパーの締切りに追われながらも、学生生活最後の夏休みを満喫できた。
9月になり、僕は学校近くの喫茶店で、待ち合わせをしていた。入ってきたのは、カメラ機材の入ったリュック背負った30代の男性・TM。フリーのカメラマンで自主映画を撮っており、制作スタッフと脚本補助を募集しているとネットで募集をかけていたのを見つけて、僕からコンタクトを取ったのだ。
TMの伝手でキャストも決まり、僕は脚本補助として自主映画製作に携わったのだが、クランクアップから間もなく、思いがけずTMとつながりのあるという大阪のモデル事務所が制作をしているYouTubeドラマの脚本を書いてみないかと、声をかけていただいた。執筆・納品から一ヶ月後、僕はYouTubeドラマで脚本家デビューを果たした。
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