第48話

成人式の同窓会の余韻に浸りながらも、僕はいよいよ1ヶ月に迫った卒業進級制作展の準備に向けて、佳境の時を迎えていた。朝から学校へ行き、原稿を印刷しては校正チェックを行っている。後期の授業も終わり、学生たちは自主制作のために学校へ来ている者もいれば、何も作品を出展せずにほぼ3ヶ月という長い春休みを過ごす学生もいる。だが、僕の周囲の友人たちは、作品出展のために同じくパソコン画面に向かって作業をしている。

休憩時間には、先日終了した成人式の話で持ち切りに。身に覚えのない中学のクラス幹事に決まっていた顛末が、当時インフルエンザで休んでいたタイミングで幹事に決められていたという話をすると、友人たちも爆笑していた。また、それぞれ地元の同級生の中には既に就職して働いている者もおり、自分たちも間もなく就活が始まると言う話題が出たことで、進路の方向性を決めなければいけない時期になってきていると実感するようになった。


脚本家や小説家には就職ではなく、デビューと言う進路があるが、当然その道は狭き門である。だが、専門学校を卒業する以上は学校で得た知識を発揮し、何としてもデビューをしたいと思っていた僕は、文章系では前例のないポートフォリオ制作をしようと思い立った。講師の先生も応援してくれたし、元々ポートフォリオが必要な専攻の友人たちもお互いに意見交換をしようということになった。

昨年の文芸誌制作を経て本を作る工程を学んだ知識を生かし、今年は書き下ろしのシナリオ本を制作。タイトルロゴは、他専攻の友人にお願いした。シナリオ本も十分作品として形にはなっているが、ポートフォリオとして学生のうちに手掛けた作品をまとめる一冊が必要だと考えた僕は、見せ方として工夫できるものはないかと考えていた。

卒業進級制作展の総務リーダーとしての業務がある中で、また一つ、ポートフォリオ制作という新しいタスクを自らに課していたのだった。

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