第47話
2016年となって間もなく、地元では成人式が開催された。何ヶ月も前から予約していた呉服屋で羽織と袴の着付けを早朝からしてもらい、玄関で家族と一緒に記念写真を撮った後、僕は母親の送迎で成人式の会場である総合体育館へ向かった。
車を降りてすぐ、どこからか女性の大きな声が僕の名前を呼んでいた。声がするほうへ近づいてみると、振袖姿の女性が停めてある車から降りてきた。高校時代3年間同じクラスで、一番話した回数が多いNだった。高校卒業以来約2年ぶりの再会だったが、真っ赤な振袖姿のNは化粧もしており、髪型も美容院で施してもらっていたので、当時の雰囲気とは全く違ったため、最初は誰に声をかけられたのか全く分からなかった。
やがて時間が近づくと、スーツ姿や一部袴姿の男子たちや振袖姿の女子たちがぞろぞろとやってきた。高校で同じクラスだったメンツ、そしてコンピュータ部で活動を共にしたI、たち、そして高校を中退したJとも再会を果たした。会場にKの姿がなかったのでJに確認すると、こんなめでたい日にも彼は競艇場に行っていたそうだ。
式典が終わり、周囲の友人たちと記念撮影を終えた後、呉服屋を後にした僕は普段着で一旦家に戻った。数時間の間とは言え、着物は意外と疲れるものだと実感した。少し家でゆっくりした後、僕は成人式の二次会会場である地元の会員制ホテルに向かった。クラス幹事なので、少し早めに行き、受付の準備をする。
同級生たちとの久しぶりの再会の中で、20歳を迎えた者はアルコールを飲んだり、喫煙所で煙草を吸いながら長々と談笑している。そして、そのまま今度は各クラスで三次会となり、僕も居酒屋へ移動した。そこでも会話は尽きず、偶然にも隣の会場では、別の中学校のクラス会が行われ、その中には高校のクラスメイトもいた。本当は四次会にも行きたかったが体力が持たず、僕は同窓会という余韻に浸りながら、家路についた。
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