第46話

20歳の誕生日を迎えて間もなく、僕は年明けすぐに開催される成人席の準備に追われていた。中学の同窓会でクラス幹事である僕は、学校でも授業の合間を縫って、連絡先が分からなかったり、グループLINEに入っていない同級生宛に送るための同窓会の案内状をパソコンで作っていた。ありがたいことに、全体の統括幹事の子から、パソコンが使える同級生として僕を思い浮かべてくれたことで案内状を作る担当になった。

同じくして、学校の同級生たちは自主制作や授業課題をまとめる作品集(ポートフォリオ)の制作に追われたり、僕もフリーペーパーの事務所でのアルバイトを始めつつも、思いがけず編集長に就任した歴史雑誌や自分で書き下ろした脚本まとめたシナリオ集の編集作業に追われていた。自分はデザインセンスに関してはほぼ皆無であったが、同級生たちは逆に僕の文章という専門スキルを評価してくれて、僕は同級生の作ったポートフォリオに記載されている説明文の添削をすることに。


年末が近くなったある日、YMが所用で僕の地元に来るということで、二人で遊ぼうということになり、僕が車を出して、ボウリング場やファーストフード店をめぐった。YMと同級生として接するようになって早1年半だが、がっつりとプライベートで遊ぶことは初めて。普段、学校でほぼ毎日顔を合わせていると、もはや学校で接することが当然で、休日まで何も会う必要もないぐらいだったが、YMとの時間は普段の学校では楽しめない瞬間であった。

冬休みに入ってすぐ、クリスマスを直前に控えた12月23日、年内最後のオープンキャンパスが開催。昨年のサンタの仮装に続いて、今年はトナカイの被り物で終日過ごし、体験授業の後に開催されたクリスマスイベントの進行を担当。これもまた体験入学に来ていた高校生やスタッフをしていた姉妹校の学生に強い印象を与える結果に。様々なものに追われた2015年も、年の瀬を迎えていた。

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