第41話
高校時代から脚本を書き始め、3年近い年月が経っていたが、コンクール用のために創作活動に過ぎず、僕が書いた脚本が実際どこかで映像化や舞台化されることなど皆無だった。自分で脚本を書いたとしても、監督やプロデューサーは当然務めたこともないし、撮影や編集といった技術も学んでいるわけではない。自分の書いた脚本という設計図を、自分の手で具現化することは不可能だった。
そんな中で、MNから声をかけられたのは、自主ドラマを作りたいという話であった。MNは大学卒業後に専門学校に来て、年齢が4歳上の同級生。当時からカメラが趣味で、景色や物撮り、人物のポートレートなど、最低限の知識は持っていたようだが、映像を撮ってみたいという。また、どうせ映像を撮るならば、ストーリーやキャラクターも作りこんだ自主ドラマにしたいというのが、MNの考えだった。
自分の書いた脚本が形になるチャンスであったと思ったが、キャストをどう集めるのかが僕には見当がつかなかった。だが幸運なことに、MNの高校時代の同級生が舞台俳優として活動していたり、読者モデルをしている大学の同級生がいるようで、改めて4年も自分より人生経験を積んでいるMNの人脈に驚かされた。
この頃、僕は学園祭のお化け屋敷の準備が動き出したところで、2年生になり必須授業も増えたことで忙しくなりつつあった。MNも僕が多忙であることを分かっていたようだが、自分の書いた脚本を映像化したい、映像を撮りたいという双方のメリットが合致したことで、自主ドラマ企画は動き出すことになった。
一方、新学期が始まったことで、学校内でいろいろな動きがあった。特に僕ら文章系が携わっていた文芸誌や雑誌の編集部については、これまで講師陣が編集長をしていたが、あくまで学生の作品だから編集長なども学生にやらせようということだった。この変更が、後に僕の学生生活に大きな影響を及ぼすことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます