第38話
アメリカ研修4日前の朝に、突然NMから告白をされ、僕は正直どう返事を返して良いのか迷っていた。もちろん、答えとしてはYESなのだが、こういう場合の模範解答が分からず、思わずしどろもどろしてしまった。何とかYESの返事を出し、それから3日後、僕らは帰国した。
形式上は付き合い始めたものの、普段授業でも顔を合わせていたり、お互い授業課題や執筆活動に追われていたことからプライベートで会うこともなく、アメリカに行く前と大差のない生活だった。
一方、YMとUYの二人の冷戦状態は、まだ続いており、これからどうするのか結論を出したほうが良いと、アメリカでも友人たちを囲んで相談をしたほどだ。
様々なドラマがあった海外研修だったが、僕にとっては楽しい思い出ばかりで、写真をただLINEアルバムで共有するのは惜しいと思い、僕は編集ソフトを駆使してオリジナルアルバムの制作に取り掛かっていた。
クリスマスの一週間前の日、この日は珍しく大雪となり、電車のダイヤも乱れて、朝7時過ぎに家を出た僕が学校へ到着したのは4時間後のこと。アメリカ研修で行動を共にした友人たちが、必須授業のために学校に集まる日でもあったため、アルバムを渡すのならこの日だと思い、僕は夕方になって雪の積もった屋上に一同を呼び出して、クリスマスプレゼントと題して、アルバムをプレゼント。サプライズは大成功を収めた。
その10日後、部屋の片づけをしていると、YMとUYから別れたという報告LINEをもらった。数日前に、『12月26日に別れる』と聞いていた僕は、唯一2人が別れる日を事前に知っていたことになる。これで、2人の件は幕を閉じた。
年が明けると、卒業進級制作展の準備も大詰めに。1年生の合同文芸誌の編集長だったNMも疲れ気味で、雑誌企画に携わっていた僕も対応に追われていた。こんな状態で無事に作品は完成するのかと、疲労が溜まる中で不安な日々が続いていた。
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