第37話

9月下旬、2週間の秋休みが終わり、後期の授業がスタートした。後期になると、年度末に控える『卒業進級制作展』への準備が本格的に動き出すところで、僕ら文章系の専攻では毎年、1年生は短編小説を1冊にまとめた合同誌と呼ばれる短編小説集を作るほか、講師の先生が主体となって動く雑誌や文芸誌の企画があり、僕は短編小説の執筆と同時に、編集プロダクションをかつて経営していた講師の先生が主体となる歴史雑誌の編集部メンバーとして参加すること。

だが、この前後に僕は、帯状疱疹を患い、お腹全体を囲うように水ぶくれができ、痛みによって寝返りも打てず、痛みと戦う日々がしばらく続いていた。しかし、周囲に心配かけたくなかったため、学園祭の駄菓子屋で僕のサポートをしてくれ、普段同じ授業を受ける小説専攻のNMにだけ、帯状疱疹の件を伝えていた。


YMとUYの交際は順調かと思っていたのだが、11月上旬に控えた海外研修に向けての荷造りをしていた矢先、双方から僕の個人LINEに向けてお互いの愚痴や恋愛相談をすることに。最初は二人して僕を煽ってるのかと思ったのだが、LINEの文面を見るからに本当に二人ともお互いの関係性に悩んでいたようで、僕は送信先を間違えないように気を使いながらLINEをした。

11月上旬、海外研修として僕らはアメリカへ上陸。飛行機は何度も乗ったことがあるが、パスポートを持って海外へ行くことは初めての出来事。現地の宿泊先は、ホテルとは言いつつも集合住宅のようにそれぞれ独立した建物で、キッチンやトイレなどが備え付けである。それぞれ宿泊する部屋は分担されていたが、僕らはYMの部屋に自然と集まる流れになり、一緒に自炊をしたり、ゲームをしたりと、みんなで同居するような生活は楽しい時間だった。

折り返し地点となった4日前の朝、僕はNMの部屋に呼ばれた。何事かと思いきや、耳を真っ赤にしたNMに僕は突然告白をされた。

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