第36話

9月に入ってすぐ、僕は誘われたバーベキューの準備をYMと一緒にしていた。誰を呼ぶか、場所をどこにするか、当日のタイムスケジュールはどうしようかと、一つのイベントを作り上げる感覚だった。

前期の授業が終わり、二週間の秋休みとなり、僕らは木曾三川公園で集まった。バーベキュー準備組と、食材調達組に分かれ、僕は食材調達係に。現地に到着すると、慣れないバーベキュー準備に追われている友人たちの姿を見かけた。何とか火も付いたところで、こちらも食材を切ったり、他の友人たちも皿や飲み物を準備して、ついにバーベキューが始まった。

夕方になると、9月下旬に控えたYMの誕生日のサプライズを行った。言い出したのは、同級生の一人・UY。河川敷のバーベキューということもあり、僕もYMも最後は全身ずぶ濡れになったが、着替えを持ってきたことが功を奏した。


バーベキューが終わり、残れる人員だけで二次会としてアミューズメントパークで遊ぶことになった。カラオケ、ビリヤード、ダーツなど、それぞれに集まって自由な時間を過ごした。アミューズメントパークは、中学の時に家族と行って以来で、友人たちだけで遊ぶのは初めてだった。

朝方になり帰ろうとしたとき、前日からのエネルギー消費で疲れていた僕は、マッサージチェアに座ったまま眠ってしまったようで、その寝姿を写した写真はグループLINEで拡散されることとなった。自分自身では、座ったまま眠ったことを覚えてはいなかったのだけれど。

秋休みも終わり、後期の授業が始まって間もなく、僕はYMとUYの関係性の異変に気付き始めていた。他の友人たちも、近頃二人が妙に親密だと思っているようで、付き合うのも時間の問題だと話していた。YMの誕生日サプライズを企画したのがUYで、おそらくそれが嬉しかったのではないのだろうか。そんな二人のことが気になりながらも、学校内では11月に控えた海外研修の話が進んでいた。

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