第2話夢から覚める

日向颯は、またしても夜の夢の中での出来事を振り返りながら、学校へ向かっていた。今朝は目覚めたばかりで、まるで夢の中の冒険が現実のように感じていた。彼はそんなことを考えながら、教室に入ると、クラスメートたちと賑やかに挨拶を交わしていた。

「おはよう、颯くん!」友達の美咲が元気よく声をかけてきた。「昨日はまた遅くまでゲームしてたの?」

「うん、まあ…」颯は少し照れくさそうに答えたが、今日はどうも気が乗らない様子だった。

すると、教室のドアが突然開き、そこに立っていたのは、どう見ても異世界から来たような不思議な美少年、悠人だった。彼は魔法使いのような衣装を身にまとい、手には大きな杖を持っていた。

「え?悠人くん?」颯は驚きと混乱で目を見開いた。「どうしてここに…?」

「おはよう、颯くん!」悠人はにこやかに手を振りながら教室に入ってきた。「僕は今、君の学園生活にお手伝いに来たんだ!」

「手伝い?って、魔法使いの衣装で?」颯は目を丸くしながら言った。

悠人は軽く肩をすくめてみせた。「まあ、こういう格好が気に入っているからね。でも、魔法の力で君の学園生活をちょっと面白くしてみようと思って。」

授業が始まると、悠人はさっそく「魔法」を使い始めた。教室の天井から突然、カラフルな風船が降ってきたり、黒板が突然「わけのわからない落書き」でいっぱいになったりと、騒動が続いた。

「悠人、これって本当に必要?」颯は困惑しながらも、笑いをこらえきれずに言った。

「必要だよ!学園生活にスパイスを加えなきゃ!」悠人は楽しそうに答えた。

その後も、悠人の魔法の影響で、授業中に突然テストが「謎解きゲーム」に変わったり、体育の時間に急に「空中サッカー」が始まったりと、教室は大騒ぎに。颯はその中心に立ちつつも、悠人の手助けで友達たちと共に楽しむことができた。

放課後、颯と悠人は学校の屋上でゆっくりと話をしていた。

「今日の騒動はどうだった?」悠人は興奮気味に訊ねた。「みんな楽しんでくれたかな?」

「うん、確かに楽しかったけど…」颯は笑いながら言った。「もう少し静かにしてくれると、もっと良かったかもね。」

「わかった、わかった。」悠人は笑いながら手を振った。「次はもっと控えめにするよ。」

その瞬間、悠人が空に向かって杖を振ると、突然、空に「大きな虹」が現れた。颯はその美しい景色を見て、心から感動した。

「すごい…こんなの、現実では見られないよ。」颯は感心しながら言った。

「これが夢の中の楽しさだよ。」悠人は優しく答えた。「でも、現実でも少しだけでも楽しさを見つけられるようにしたいと思って。」

「ありがとう、悠人。」颯は感謝の気持ちを込めて言った。「次の冒険も楽しみにしているよ。」

日向颯は、昨夜の夢での冒険がいまだに頭から離れなかった。学校へ行く途中も、まるで現実のように感じるその不思議な感覚に浸っていた。しかし、今日の学校での出来事は、もっと予想外でびっくりするものだった。

「おはよう、颯くん!」教室に入ると、颯はまたしても例の美少年、悠人に出くわした。今日も悠人は、魔法使いの衣装に杖を持って、クラスメートたちを驚かせていた。

「おはよう、悠人くん。どうしてまたここに…?」颯は眉をひそめた。

「こんにちは!今日は君の学校生活をさらに面白くするために来たよ!」悠人は得意げに言った。「さあ、今日も魔法の力で学園生活を盛り上げよう!」

教室内で、悠人は早速「魔法」を使い始めた。まずは、突如として教室の中に「魔法の書」が現れ、ページがひらひらと舞い上がった。書物から飛び出してきたのは、妖精たちだった。妖精たちは教室の中を飛び回りながら、いたずらな笑顔を浮かべていた。

「これ、どういうこと!?」颯は驚きとともに叫んだ。

「これは『妖精の授業』だよ!」悠人は笑顔で答えた。「妖精たちが授業をサポートしてくれるんだ!」

妖精たちは、教室の机に突如現れた「魔法のキャンディー」を配り始め、クラスメートたちはその甘いキャンディーに夢中になっていた。しかし、キャンディーにはちょっとした「魔法」がかかっており、食べた人が突然踊りだすというトラブルを引き起こした。

「踊りたくないのに…!」颯は大笑いしながら言った。「でも、これはかなり面白い!」

さらに、悠人は次に「魔法のクラス対抗バトル」を始めると言い出した。教室の中央には突然「魔法のリング」が現れ、生徒たちはリングに立たされ、「魔法バトル」を繰り広げることになった。もちろん、バトルといっても、魔法の力で「空中キャッチボール」や「風船戦争」など、笑いが絶えないものばかりだった。

「よし、颯くん、君も戦いに参加して!」悠人は手を振りながら颯をリングに招待した。

颯は渋々リングに立ち、「魔法のバトル」に参加することになった。周囲の生徒たちが爆笑する中、颯は悠人の魔法で空中を飛ぶ風船をキャッチしようと必死になりながらも、思わず笑ってしまった。

「これは予想外だったけど、楽しいな。」颯は笑いながら言った。

放課後、颯と悠人は学校の屋上で一息ついていた。悠人は、またしても杖を振って「魔法の花火」を空に打ち上げた。花火が夜空に広がり、幻想的な景色が広がる中、颯は感心しながら言った。

「悠人くん、君の魔法は本当にすごいね。でも、もう少し普通にしてくれるとありがたいかな。」

「それは分かってるよ、颯くん。」悠人は笑いながら答えた。「次はもっと控えめにするから、心配しないで!」

その瞬間、悠人は颯に向かって大きな魔法の花束をプレゼントした。颯はその花束を受け取り、照れくさそうに笑った。

「ありがとう、悠人くん。これからもよろしくね。」

「もちろんだよ!」悠人はにこやかに笑いながら言った。「また面白い魔法を見せるから、楽しみにしててね!」

颯はその言葉に笑いながら、悠人と共に楽しいひとときを過ごし、また新たな学園生活の冒険が待っていることを期待していた。


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