霧に消えた村2

私は藤井健一、郷土研究家として地方の歴史や伝説を調査している。

先日の霧谷の調査から戻ったばかりだが、その経験が私の心に強く残っている。

霧谷の伝説が単なる噂ではないと感じた私は、さらにその伝説の背景を調べるために新たな調査に取り掛かることに決めた。


今回は「霧谷の伝説」に関連する古文書や地元の人々の証言を集めるために、再び現地に赴くことにした。

今回の目的地は、霧谷の周辺にある古い神社と、村の歴史が記されたと言われる古い資料館だ。

そこには霧谷に関する追加の手がかりが隠されているかもしれない。


神社に到着すると、霧は以前よりも薄くなっていたが、依然として湿気を含んだ冷たい風が肌を撫でる。

神社の境内には古びた鳥居と、その前にある大きな石碑が立っていた。

石碑には、神社の創建に関する記録が刻まれているが、霧谷についての情報はほとんどなかった。


神社の神主に話を聞くと、彼は霧谷についての古い話を知っていると言った。

神主によると、霧谷の人々は昔から「霧の中に消える」という呪いに悩まされていたという。

呪いの発端は、村の長老が神の怒りを買ったことによるものだという。

具体的な内容は分からないが、神主は口を閉ざしたままだった。


次に、村の歴史が記された資料館に向かった。

資料館の中は薄暗く、埃をかぶった古い書物や地図が所狭しと並んでいる。

私はその中から霧谷に関する文献を探し出し、調べ始めた。

やがて、一冊の古い日記が目に留まった。

日記には、霧谷の村人が残した記録が書かれており、霧谷に関する詳細な出来事が記されていた。


日記の内容には、霧谷が突然霧に包まれた理由が詳しく記されていた。

どうやら、霧谷の住人はある神殿を建て、神を迎える儀式を行った際に、何かを失敗し、神の怒りを買ったという。

神の怒りは、霧谷を霧で覆い、村を消し去る形で現れたと書かれている。

日記の最後には、「霧谷の記憶は永遠に霧の中に」と書かれており、その言葉が重くのしかかった。


資料館の館長に話を聞くと、霧谷の記憶に関する情報は少なく、日記の内容が真実かどうかは不明だという。

館長も神主と同様に、霧谷のことを話したがらない様子だった。


調査を終え、霧谷に戻ると、再び霧が立ち込めてきた。

神社や資料館で得た情報を元に、霧谷の呪いの核心に迫りたいと思いながら、再び村の広場に向かった。

広場には、あの大きな樹木が立っており、樹木には「霧谷の呪い」と刻まれている。


樹木の根元に、小さな石が埋められており、その上には「霧谷を忘れよ」という言葉が刻まれていた。


その周りには、何も変わった様子はなかったが、霧の中からまたもや「助けて…」という声が聞こえてきた。


今回は、その声の主を見つけようと、霧の中に足を踏み入れた。

霧の中を進んでいくと、急に視界が開け、廃墟のような家が現れた。

その家の中に入ってみると、部屋には何もないが、奇妙な冷気が漂っていた。

棚の上に置かれた古い写真には、見知らぬ家族が映っていた。

写真の裏には「霧谷の最後の日」と書かれていた。


写真を見つめながら、私はあの日記や神主の言葉が現実のものだったのか、ますます確信が深まってきた。

霧谷には、まだ解明されていない謎が多く、私の調査は続けなければならないと思った。


車に戻りながら、霧谷の謎がますます深まっていることを感じた。

霧の中での体験と、資料館で得た情報が結びつく中で、霧谷の真実に迫るためには、更なる調査が必要だと強く感じた。次回の調査が待ち遠しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る