霧に消えた村3


霧谷の謎を解明するための最後の調査に取り掛かることに決めた。

私は藤井健一、郷土研究家として霧谷の歴史と伝説に深く関わってきたが、まだその全貌が明らかになっていない。


前回の調査で得た手がかりや証言を元に、最終的な結論を導き出すために霧谷に再び足を運んだ。


今回は、霧谷の広場にある樹木の周りや、古い家の跡を再調査することにした。

以前の調査で発見した「霧谷を忘れよ」という刻まれた石や、霧の中から聞こえた「助けて…」という声が、何か大きな秘密を暗示していると感じたからだ。


広場に到着すると、霧が一層濃くなり、視界がほとんどない状態だった。

私は慎重に樹木の周りを調べ、再度「霧谷を忘れよ」という刻まれた石を観察した。その石には、以前には見られなかった奇妙な傷が追加されていた。

傷の形は、まるで人の手のひらのように見え、そこから放たれるような力強さを感じた。


その後、霧の中に消えた古い家の跡を再度訪れると、以前よりもその周囲が明らかに異なる様子が見受けられた。

廃墟の中に、一枚の古びた絵がひっそりと飾られていた。

絵には、霧谷の風景とともに、古代の神殿が描かれており、その神殿の前に人々が集まり、儀式を行っている様子が描かれていた。


絵をじっくりと見つめていると、霧の中からまたもや「助けて…」という声が聞こえてきた。


今回はその声に従い、霧の奥深くへと進んでいった。

霧の中を彷徨っていると、突然視界が開け、小さな祠が現れた。

祠の中には古い神像が祀られており、その神像は目を閉じたまま、何かを待っているように見えた。


私はその神像に近づき、祠の前に膝をついた。

神像の下に刻まれていた文字は、「呪いの解除を願う者よ、ここに来たる時、真実を知るべし」と書かれていた。

この言葉を見た瞬間、心の中で霧谷の呪いの真実が浮かび上がってきた。




霧谷の呪いは単なる伝説ではなかった。

実際には、神殿で行われた儀式が失敗し、村全体が霧に包まれ、住人たちは永遠に霧の中に閉じ込められたというのだ。

そのため、霧谷の人々は神の怒りを引き起こし、呪いによって霧の中に存在し続ける運命にある。

古い家の跡にあった絵も、その儀式の失敗を記録したものであり、「助けて…」という声も、霧に閉じ込められた者たちの呼び声だったのだ。


私はその場で、静かに祈りを捧げた。

神像の前での祈りが終わった後、霧が少しずつ晴れていくのを感じた。

霧谷の呪いが完全に解かれたわけではないかもしれないが、少なくともその一部が解放されたのではないかと感じた。


調査を終え、霧谷を後にする頃には、霧がだいぶ晴れていた。

霧谷の謎を解明し、呪いの真実を知ることができたことに満足しつつ、またいつか霧谷に戻る必要があると感じた。

霧谷の歴史と伝説がどのように人々に影響を与えてきたのか、そしてその真実が今後どのように変わっていくのかを見守ることが、私の使命だと改めて感じた。


霧谷の調査を終え、私は帰路についた。

霧谷の歴史に触れ、その深い謎を解明できたことに感謝しつつ、また新たな調査の旅が始まることを心に誓いながら。


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