旅の終わりと冒険の始まり
イタチ
旅の終わり
冒険の終わり
漆黒の夜空は、先ほどまで、幾万の星が、輝いていたが
大魔法使い
サテルの変色魔法により
光を通さない物質が、地上の上を、覆い
真の闇夜へと、姿を変える
それが、勇者パーティーの力でなければ、誰も、その光景を、祭りの一部だとは、思えなかっただろう
「始まるな」
剣士ダレンが、木枠で作られた酒を、傾けながら
隣のタンク ゴマスリに、言う
もともと、あまりしゃべらない、ゴマすりであったが
その日は、いつも飲まない酒を、勇者の発泡酒を、同じくし
泡を、傾けるように、頷くだけだが、その髭ずらには、笑みが漏れ出していた
それは、普段を知る人間からしてみれば、実に、奇妙であり、お面でも張り付けているのではないかと言う、その顔が、破顔していた
「さー」
「にー」
「いー」
「ぜいろー」
民衆の誰かが合図したかのように、揺れるように、数が、減る
見ず知らずの感嘆と、共に
その日、空には、全てを、埋めつくすような
魔法の火の種が、辺り一面を、全てが、分裂するように
赤と青がぶつかれば、紫になる様な
別のものと別のものがはじきあいすれ違うような
それは、誰かを、殺すためのものではない
ただ、美しい
その一点を、日夜、殺戮のための研鑽を積んできた
大魔法使いが、打ち上げたのだ
もし、大魔法使いに言えば、殺すにしてもどちらにしても、色々な事を知らなければ、いけない
この世は、時間が足りなさすぎる
とでも言うのであろう
酢漬けのプリンを作ろうとして、極悪な兵器を、作るのはそういう手段方向なのだろうか
「しかし、しけてるよな、もう少し、モテても良いようなものを」
とんがり、耳のシーフの声が、雑踏な感性の中から聞こえる
いまだに、魔法の花火は、消えることなく、夜空を、飛び飾っていたが
剣士は、振り返る
そこに、人影を、探すが、世やみでも見える
そして、その存在を、認知できる彼のもとに、シーフの姿はない
隠密行動の得意な、彼であったが
しかし、剣士の正眼に、置いては、その限りではない
それは、自分の技を、越えたという意味においてなら、良かったが
そうではない
技が負けるなどは、死を意味する
それを悔しくない理由
それは、シーフのゴロザエモンが、死んだ頃に由来する
最後、魔王の側近による、生贄により、屍となった、その王が、パーティーの牙ともいえる
要の剣士を、狙った
それを、身をかばい、隠密から、側近が、気が付かない事を、利用し、飛び出したのだ
安堵は、なけれど、緊張を、解いた
その一瞬
これこそが、生死を、分けた
全く、問題外だ
魔王場を、後にしてからも、会話は、無かった
ただ、生きて帰る
それだけの旅
このたびに意味はあったのか
しかし、伝統では、仕方がない
それに、意味はない
だからこそ、何よりも裏切れないのだ
何の縛りもない
されど高見はある
誰かに強要されたわけでもない
しかし、いつの間にか、それをするのが当然だと、そう思った
それは、魔王側も、そうだったのかもしれない
世の中で禁止した存在
魔法、生物
それらを、束ねなければ、その存在自体が、消滅する
殺される
不要と
パーティーが、故郷に、帰って来た時
一人居ないことに、気が付いたものは、声をかけることなく、肩を叩いた
誰からだろう、涙が、こぼれそうになる
いや、泣いていたのだ
それでも、それだからこそ、普通にしなければいけない
奴が、そう、奴もここに帰って来たのだ
だから、それが、いつも通り、普通に、振舞わなければ
夜空の花火は、この旅での
流れに、小さな粒が、変化していく
祭りも、もう佳境だ
あの魔法使いも、弟子に任せて、酒を飲みたくて仕方がないだろうが
この魔法は、代々、帰ってきた魔法使いが、やらなければいけない
みやげ話みたいなものだ、その本人がやらなければ意味がない
過去には、乱雑な奴も居たが
しかし、それでも、それは独自の視点を、夜空に写す
「明日から仕事だな」
剣士は、タンクに言われ、いやだなーと思った
まるで、一時の祭りのようではないか
きっと、来年も、この村からは、パーティーが、金を工面され
あの城に、たどり着く
夜が白まなければいい
魔法使いが、あの魔法を、使い続けてくれればいい
しかし、あの食い意地だけは、張って居る甘党の魔法使いは、そんな事を気にせず
そして明日も淡々と、魔法の訓練に、戻るのだろう
後継者の育成、勉強、小さい時より変わらない
畑は、やだな
そんな言葉が、剣士の口から出る
夜は、魔法の効果を、切り始めたのか、はしの方から、徐々に、明るくなり始めた
旅の終わりと冒険の始まり イタチ @zzed9
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