16話 道

正面から太陽が輝き、その光がバイクに反射すると太陽に負けずにバイクも美しい赤色を放つ。

アスファルトが剥がれている道路をバイクは走りながら東へと向かっていく。

先生の家を出て1週間がたち僕は、1人で今は五大湖のミシガン湖に向けてバイクをころがしている。

現在時刻は午前6時 元々人気のない道路なの自動車もほとんど通ってなく、あたりにはバイクがかなでる騒音が蔓延していた。


1週間前、家を出る時に先生は旅にはついていけないといった。

理由は本来争奪戦に参加するように魔術協会から依頼が来ていたのに僕が先に『CELL』を取り込んでしまった。

その後始末とごまかしをするため魔術協会の本部、ヨーロッパのイギリスにいかなければならなくなったからだ。

ゆえに旅は僕だけですることになったが、先生は僕に多くの物をわたさしてくれた。

偽造パスポート 宝石 新しい眼帯 そしてバイク。

宝石は旅の資金としてダイヤモンドやアメジストをいくつか渡された、先生が言うには総額で6万C$(約600万円)ほどの価値があるらしい。おそらくこれで旅の資金は十分だろうが何があるかは分からないのでできる限り切り詰めて旅をしなければならない。

そして僕が今ミシガン湖に向かってる理由は、そこに『CELL』と『CELL』の所有者が現れる確率が高いからだ。

旅立つ前に先生から聞いた情報によると、ヨーロッパの方では『CELL』はあらかた取り尽くされてしまったらしい。

元々、魔術協会もヨーロッパを中心として『CELL』を収集していて、今回の争奪戦に参加する魔術師もヨーロッパからの者が多いため、必然的にヨーロッパの『CELL』は他の大陸よりも少なくなっているそうだった。

ヨーロッパの魔術師達は世界中に散り、各大陸で『CELL』を探している。

五大湖は魔術協会がまだ捜索の手が行き届いていない場所なので、『CELL』がある確率が高いということだった。


そして、僕は自分のバイクのグリップを握る左手とそこからのびる左腕を見る。

ロッキー山脈での1ヶ月間、実は僕は『CELL』を5個見つけていた。

つまり、今僕の左腕には合計17個が同化している。

闇市で2つ見つけ、ロッキー山脈の中で見つけた時感じたことがある。

それは、おそらく所有者は『CELL』がある程度近くにあれば存在を感知できる。

もしかしたら、所有者同士も互いの存在を感じ取ることができるのかもしれない。

そうだった場合、敵と真正面から叩かんなくてはならないというわけだが、そうなると魔術戦の実戦がない僕はかなり不利なのではないかと思う。

さらにやっかいなことに、先生がいうにはどうやらこれまでの2回の争奪戦の記録から推測するにおそらく『CELL』そして所有者達は互いに互いを引き合っているらしい。

世界中を旅する中、今までの争奪戦は3ヶ月から5ヶ月ほどと半年もたたないうちに終了している。

何か強い力が、所有者達を引き付け合い早期に決着がつくようにしむけているのかもしれないと先生は言っていた。

そうなると戦いはさけられない、僕が先に相手を見つけるか、殺されるかの2択。

最高のパターンは他の魔術師同士が戦い疲弊しているところで襲い漁夫の利を得ることだが、相手達がこちらに気づくかもしれない以上それは難しいだろう。

考えるほど頭が痛くなる憂鬱な話だが、仕方ない。

他の所有者よりも早く『CELL』を手に入れて戦かいにまきこまれる前に逃げる、当分はこれを繰り返そうと決心する。


現在時刻は6時半


それは突然、いつも突如としておこる。

「ッ!!」

バイクで山の道路を走っている時に感じた。

舗装が荒く走るにはあまりいいとはいえない道路、その真横には生い茂った森が広がっている。

バイクを道路のわきに停め、その森の中に木々をかきわけ入っていく。

人が通るためにつくられた道はなかったが、どんどんと奥へと歩いていくと特有の酸っぱく鼻につく匂いが濃くなっていくがそんなことを気にすることはなかった。

しばらくいくと、木々がない場所に出た。

半径5m程の円状の部分には木が生えておらず、土の上には砂が厚く積もっていた。

「やっぱりか…」

太陽の光はまわりの木々に遮らら少ししか砂場を照らしていなかったが、その太陽が指す部分には闇市の時と同じく『CELL』がまるでまっていたかのように鎮座していた。

バイクを降りる直前に感じた、感覚。ロシアそしてロッキー山脈の時と同じだった。

やはり、所有者は『CELL』の場所を感じとることが出来る。

僕はその光に近づいていく。

(違和感)

しかし、違和感があった。

待っていたかのようにそこに『CELL』はあった。

そして、いま僕は目の前の『CELL』以外にもう1つ森の向こう側僕から約7mほど前の木々の隙間から何かがあるのを感じている。

それは『CELL』では無い、別のなにか。

「はめられたっ…クソッ!」

次の瞬間 閃光とともに全身に電流が流れ、その場で砂の海に倒れた。


「まずは、1人か…」

砂から顔だけをあげると、前の木から青い色のローブを被った長身の男が低い声と共に現れるのを確認することができた。


……………………………………………………………


『CELL』争奪戦

①『CELL』と呼ばれる黒い球状の物質を全て集めることにより 唯一残ったものが魔法CELLの所有者になれる。

②『CELL』の所有者は『CELL』の在処を一定の距離ないであれば感じ取ることができるが、その能力には個人差がある。


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