臨時任務

 オペレーター室に行って!と言われたはいいものの、これって初めての本番じゃない!?よくあることって言ってたけど、大丈夫だとは思えない。


『咲ちゃん! 聞こえる? ほんとに予想されてなかった敵が出現しただけだから! いつも通りで大丈夫!』


 ルカが不気味なくらい励ましてくれる。いつもは私のこと、からかってばかりなのに…。


「データ送ります! Bエリアには敵が三十体! これから三木隊と河城隊が到着予定、だそうです!」

『おっけ! すぐそこの建物に登って様子うがかうね!』

「了解!」

 ふぅ。ちゃんとデータも送れた。到着予定の隊のこともちゃんと伝えられた。だけど三木隊と河城隊とのコミュニケーションがちゃんとできるか心配。


「三木隊、河城隊、到着したそうです! 見えますか?」

『お、見えた見えた! 合流する!』

「はい、こっちでもオペレーターさんがきてくれました! 軽く話し合うので、警戒しつつ攻撃を続けてください!」


「初めまして、咲ちゃん、三木隊のかなでです。」

「私は河城隊のめいこ。 話し合いはさっさと終わらせて、敵、やっつけるよ。」


 私のオペレーター室にかなでさんとめいこさんがきてくれた。あれ、なんかオペレーターに女子、多いのかな。


「私は敵を囲んだほうがみんなやりやすいと思うけど、それだと時間がかかるわね」

「私もそう思った。だから徐々に少しずつ敵にダメージを与えながら囲んでいくようにしよう」

「賛成!」

「賛成です!」


席に着くと勇人くんからスマホにメールがあった。

「俺も合流する」


『わかった!』

そう連絡すると、すぐにモニターに勇人くんも映し出された。


「ルカ! 今、少しずつ敵を囲んで、徐々に詰めていく作戦になったから、勇人くんの後衛お願いします!」

『おっけー!』


 徐々に敵が減っていくとともに不安の塊が少しずつ解けていく。


『敵が全てたおされたことが確認されました。みなさん施設に戻ってください』


 この放送、ルカたちに聞こえてるのかな。一応伝えておこう。

「ルカ! 勇人くん! 敵が全てたおされたって!」

『知ってるよ、もしかしてさっきのアナウンス、僕らに聞こえてないと思ってたぁー?』


 むぅ、腹が立ってしょうがない。


『ルカ、やめな』


 勇人くんが庇ってくれたけど、なかなか怒りはおさまらない。


『じゃ、僕らが帰るまで、咲ちゃん待っててー!』


「うん……」


 普段の腹が立つ話し方を変えたらかなり完璧な人なんだけどな。運動神経もいいし美人だし、不安な時は励ましてくれるし。



「たっだいまー! 咲ちゃん、オペレーター良かったよ! 普段タメ口なのに敬語なところが面白かったけどぉー」


「……やめてよ」


 ほんとに腹が立って暗くて冷たい声で一言言ってしまった。ルカは慌てている表情。勇人くんは相変わらず無表情だ。


「ご、ごめん……」


「私、帰る」 


 私は素直になれずにそう一言残し隊室を去った。ほんとは家に帰りたかったけど帰りかたがわからない。そういえばこれまでの訓練、勇人くんかルカに連れてきてもらってたな。帰る時も。


 帰りかたがわからない私はとりあえずオペレーター室に行った。

 









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