ある日の訓練
六月のとある日、私は今日もオペレーターの訓練をしていた。
「よーし! 今日も一緒に頑張ろー!」
「おー!」
かなみさんの明るい掛け声に私も元気よく応える。
『シュミレーション、開始』
機械っぽい声がそう言うと、私の訓練が始まった。
『今日の敵、ちょっと強めに設定しておいたけど、いつも通りリラックスだよ!』
「はい!」
今日もかなみさんは別室で見守ってくれている。
「データ送ります!敵三体!うち1人が人型狙撃手と見られます!」
『了解! 一番近い敵から近づいていくね!』
本物みたいなルカの声。
「了解勇人くんも続いてください!」
『了解』
勇人くんは顔だけじゃなくて声もいい。でもやっぱり本物はもっといい。って、集中しないと。
『勇人! 人型の方はかなり早くて追いつけない! 勇人が優先的にやってくれ!』
『わかった』
二人が手際よく敵をやっつけていく。やっぱり二人ともかっこいい。
「敵はあと一体! 足が遅いようですが油断しないで! 新型という可能性もあります!」
結構なれてきたかも。本番もそろそろかな。
『シュミレーション、終了』
『咲ちゃん、頑張ったね! ぴーす!』
「ぴーす!」
かなみさんとの関わり方もわかってきた。ありのままの自分にちょっと元気を足す。これでオッケー。
ビィービィービィー!
突然警告音のような音がなった。
「か、かなみさん、何これ!」
私は焦ってかなみさんにタメ口で話しかけてしまった。
『予想外の敵が出現したんだ、きっと。放送が来るまで落ち着いて待ってて!』
『予想外の敵が出現しました。施設内にいる隊員は各自隊室に入ってください。今から指示します。』
聞いたことのない声に不安が増す。
『咲ちゃんも隊室に行って!』
「は、はい!」
「勇人くん、いる!?」
「あ、勇人じゃなくて僕でーす!」
「よかった、ルカいたんだ!って、なんでそんなに余裕なの!?」
ルカが余裕すぎて自分が異常なんだと錯覚しそうになる。
「だいじょーぶ! よくあることだから。ったく本部は大袈裟なんだよ。あ、今から指示があるみたいだ。ほら、モニター!」
私は急いでモニターをつける。ちょっと上から目線な態度に少し腹が立つ。
『勇者隊は二人だけか。まぁいい。二人にはこの地図にもあるようにBエリアから担当してもらう。いいな?』
「はい!」
あれ?ルカが返事しない。そう思ってルカの方をみると、笑いを堪えている。
「なんで笑うんだよー!」
「だって聞こえるわけないじゃーん、これマイクついてないんだよ? はははっ!」
もーこういうルカ、ちょっと嫌い。
「じゃ、僕は準備するから咲ちゃんはオペレーター室に行ってて! いつも通りだよ!」
「う、うん!」
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