最初の訓練

「ここが咲ちゃんのオペレーター室だよ!」

 

 オペレーター室にはポツンと机があった。机にモニターとキーボードマウスが置かれている。


「これも設定とかあるから俺に言って。」

 

 くぅーさいこーだぁー


「じゃ僕らはこれで」


「え、待ってよ! 私は?」


「あぁ、かなみさんが担当してくれるよ。僕らは隊室に戻るから、焦らなくても大丈夫だよ!」

 

 よかったー忘れ去られるのかと思ったー!


「こんにちは!」

 

 あ、きっとかなみさんだ。


「こんにちは! かなみさん!」


「咲ちゃんだよね! やっほー! ぴーす!」

 

 テンション高い人だなあ。でも仲良くなれそう。



「これから簡単な訓練を始めるね!」


 カタカタとかなみさんがパソコンを触ると

何やらこの世界の町のようなものが出てきた。勇人くんとルカのような人もいる。


「これは戦闘のシュミレーションだよ。そしてこれがマイク付きのヘッドホン。隊員のみんなに指示するために使うよ。そしてサブモニターは隊員の体力や能力、敵のざっくりとした位置と仲間の位置がわかるの。まずは私がやってみるからなんとなくでみててね。」


「まずデータ送ります!」

「北方向に敵三体!」

「様子を伺いながら近づいてください!」

「警戒しながら攻撃続けてください!」……


「……すごい!」


「こんな感じでオペレーターをしてもらうよ。きっとデータを読み取るのは得意だろうから、慣れてみよう! 勇人くんもルカっちも戦いに慣れているし、オペレーターがつくのは初めてだから、ちょっと間違えてもなんとかなるよ!」

 

 間違えてもいいのかよ。2人ともずいぶん慣れているんだな。


「じゃやってみよっか! シュミレーションだからリラックスしてね!」


「えぇ無理、です、!」


「大丈夫! 私は退室して別室で見守ってるからリラックスしてー!」

 

 そういう問題じゃ無いんだけど。まぁ、


「頑張ります!」……



「おーがんばったね! 初めてにしては上出来だし、すごいよ!」

 

 かなみさんの声がヘッドホンから聞こえる。


「ありがとうございます!」


「一ヶ月くらいはこのシュミレーションで練習しようね。慣れてきたら勇人くんとルカっちと一緒に簡単な任務をこなしてみよう!」


「はい!」


「じゃー解散!」



「ただいまー!」


「おーおかえりー! モニターで見てたよ!」


「え、やだ、恥ずかしい……」


「……上手くできてたと思う……」

 

 また褒めてくれた!実は思わせぶりだったりして。

 嫌な考えが浮かぶ。疑ってしまう自分が嫌だ。


「うーん、まだやらなきゃいけないことあるんだけど、咲ちゃん疲れてるだろうから、解散!」


また光に包まれた。



「あ、着替えるの忘れてた! 咲ちゃんはスーツだから大丈夫かなぁ?」


「うん大丈夫!ありがとね、ばいばい!」


「ばいばーい!」


「……じゃ」


 それぞれ家に帰った。


 今日はたくさん褒めてもらえたっと。

 高校になってから続けている一行日記に記録して、スーツをハンガーにかけた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る