裏世界にれっつごー!

 ピコン!

『今日からよろしくねー!』

 早速ルカにメールをしてみた。あまりメールをしないからドキドキしていると、すぐに既読がついた。

『こちらこそよろしくー!』

 少し話を広げてみようと答えやすそうな質問をしてみた。

『2人って同じ学校から来たの?』

『うん、ちょっと問題起こしちゃってねー。』

 答えやすそうな質問から返事に困る答えが返ってきた。

『へぇー。』

 私は自分で言うのもなんだけど相手の感情を察したり、状況を受け止めるのがうまい。が、さすがに返事がそっけなくなってしまった。

「もうちょい感情入れた方が良かったかな。」

 

 メールがしばらく続き、そろそろ終わりにしようとメールを送ろうとした時、ルカからちょっと不思議なメールがきた。

『ちょっと話題変えるね。

会ったばかりで申し訳ないんだけど、僕らの“お願い”聞いてもらってもいい?』

『?』

(僕ら? お願い?)

わけがわからなくて?としか送れなかった。

なかなか理解ができない。考えても考えても?しかうかばない。

またすぐにメールが来た。

『?ってことは僕らの話、気になるってことだよね? OK! お願いっていうのはね、……』

 続きを見てびっくりした。これはもしかすると、私のバカな夢が叶うのでは!?



『僕と勇人、実は“裏の世界”で敵と戦ってるんだ。わけがわからないでしょ? まぁとりあえず読んでね。それで結構進めてきたんだけど、1人くらいたりてなくて、。つまりなにがいいたいかというと、君に僕らの隊に入ってもらって、オペレーターになって欲しいわけ! この前の説明会の時、君の話し方や能力をこっそり分析したから、結構いいオペレーターになることがわかってるんだ! 今週までに返事よろしく!』



 意味がわからない。でも楽しそう。でも怖い。敵でしょ? 戦うんでしょ? 色々な感情があふれてこぼれそうになる。頭がぐるぐるする。

とりあえず考えようとカレンダーを見ると、今週は今日までだった。

「おいルカ。」



 しばらく時間が経って答えが出た。

(文章的にもゲームの話ではなさそうだし、嘘だとしても仲良くなりたいし!)

私はしっかりと考えてから、


「『OKだよ!』っと。」


前向きな返事をルカに送った。



 次の日。

『今日学校で待ってるから!』

 ルカからメールがあった。時間も何があるのかも全く書いていない。しかし、なんだか急いでいることを察し、待たせてはいけないと急いで家を飛び出した。


学校に着くとなんだか戦いを始めそうな格好のルカと勇人が立っていた。何もいえず突っ立っていると、

「思ったより早かったね! じゃ、今から早速れっつごー!」

びっくりするほど高いテンションでルカがジャンプする。背中にはゲームの世界に出てきそうな弓が背負ってある。勇人の方には、剣だろうか。装備もルカよりしっかりしている。ってこれで歩いてきたのか?

「え、待って待って待って!」

るんるんなルカとだるそうにしている勇人を慌てて引き止めた。

ルカが不思議そうな顔でこっちを見てくる。

「え、ちょ、ごめん、ほんとに裏の世界ってあるの?」

今さらだけどこんな質問をしてしまった。

「? メールで書いてたじゃん? これは見せた方が早そうだね! 今度こそーれっつごー!」

ルカと勇人がグーにした手を空に突き上げると、私たちは光に包まれた。

「きゃーーー!!!!」



 「うわぁ」

 目を開くと近未来な感じの空間が広がり、大きな建物がどっしりと構えられていた。遠くを見つめると町があった。

「ここが裏世界ってやつだね。勇人、咲ちゃんに敵のこと簡単に説明してあげて!」

上から目線の命令に勇人は不機嫌そうだ。

「……ん。敵はまぁ文字通り敵だ。この敵が現実世界に被害を出し始める前にたおす。それが俺たちの仕事だ。」

(かっこいい……)

不本意にもドキッとしてしまった。

「うん! そんな感じでいいよ! じゃこれから目の前の施設で咲ちゃんを僕らの隊に登録して、簡単な訓練をしてみよう!」

「え、訓練!?」

 訓練と聞くと難しいものしか思いつかず、咲は不安になった。咲の頭には走り回ったり筋トレをしたりという景色しか頭に浮かばない。

「だいじょーぶ! しんどいやつじゃないから安心して! えい、えい、おー!」

「……」

「? おー!」


三人はバラバラの足並みで建物に入っていった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る