白龍と精霊

峻厳孤高な岩山の

底を流れる急流に

水神を祀った廃院の

廃院と見えるのは

この世の次元ゆえ


あちらの世界では

水を吐く龍の口に

見えるという


三本の指に握られた宝珠を

高く掲げて日月とし

豊かな流れを照らす白龍は

しとねとする急流と

同じ速さで空を飛ぶ


自ら巨大な雲となって

汚れた大地を雨で浄化し

乱れた世を悲しむ咆哮は

雷鳴となる


水の神に侍るのは

知と力の精霊


知の深さは七彩五色

龍の目から放たれる光の色


龍の四肢に充ちるのは

蒼天を支える力


ねじれた巨木の森の中

渓声に耳を澄ませば

天詔琴あまののりごとに似て

昇天する龍を想う


その飛沫が心奥を濡らすとき

蜃気楼のように

龍の世界が立ち現れる


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818093083314987429


▶ 天詔琴…神のお告げに使う琴

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る