第7話 魔獣連盟
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「世界の敵、か…どこへ逃げたらいいのやら」
魔法によって人間の価値が測られる世界。そんな世界で『魔法を消滅させる力』を持った人間を歓迎する人々は恐らく、差別されている人々だけだろう。だが、当然彼等は俺達に協力してはくれない。誰だってわざわざ余計な厄介事に首を突っ込みたくはあるまい。
「魔法が使えないだけならまだしもな…あ。黙っていれば別にバレないんじゃない?」
「それは私も考えたんだけど無理だと思う」
どうやら、この世界の人間にとって魔法を使うのは俺達の世界で自転車を漕いだりスマホで電話したりするのと同じ日常的な行いなのだそう。差別されている人々や奴隷の扱いを受けている人達も皆、魔法を使って仕事をしているそうだ。
「私の身体のどこかしらに当たるだけでどんな魔法もバラバラになっちゃうみたいなんだよねー」
「逆に魔法では澪ちゃんを傷付けたり殺したりって事は出来ないわけだ」
「そうみたい」
中年の男が澪ちゃんを捕まえていたのはそういうわけだったのか、と納得した。恐らく生存しているだけで今ある社会を揺るがす事が出来る澪ちゃんの首を、支配者たちは
「一先ずは人間の往来のない山の中にでも…」
「それなんだけど。1つ心当たりがあって」
「心当たり?」
澪ちゃんは何処からか丸まった紙切れを取り出した。胸元から取り出したわけではなさそうだったし、お尻にでも…だから何を考えているだ俺は!?
「地図だ」
「地図だよ☆ それでね? ここの大陸の中央を東から西にかけて横断してるのがクライモア魔導国」
この魔導国こそが世界最強の国家であり、世界とはクライモアの事を指しているようだ。
「それと、魔導国を囲むようにして南東のドルミ帝国…西南の千民國…北西の『連盟』があるみたい。この『連盟』は国家というよりは獣人や魔族が集結してる自治区みたいな場所らしくて、現状唯一の反魔導国を掲げている勢力なんだって」
「獣人と魔族…?」
獣人はなんとなく分かる。狼男やケンタウロスみたいな半人半獣の存在なんだろう。
「ええと、見て貰った方が早いんだけどー。噛み砕いて言うと猫耳の生えてる人達が獣人で、天使みたいに頭上に輪っかの浮いてる人達が魔族って考えてもらえればいいかな」
「なるほど…」
「私って存在そのものが反魔導国の象徴みたいなものだし、きっと受け入れてくれると思うの。爽くんはどう思う?」
ネコミミの仕草をしている澪ちゃんがカワイイのはさておき。
「…俺は反対かな」
「え」
澪ちゃんは予想外の返答に面食らっていった。
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