第5話 一件落着?そして。

「う…うわぁぁぁ!!」


 そう言うと、モビートと呼ばれた男の体は半分に裂け、中からエボン星人が現れた。


 そして、その大きな口でもう一人の男を食い潰した。


 うわー…これ、近くで見ると、すっげェグロい。


 跡形もなく喰い尽したエイリアンは、樹さんの姿に戻る。でも…。


「あ、あんた第七星群警護班ってのに追われてんだろ?いいのかよ、ここまでやって…」


「ん?なんじゃそりゃ?そんな組織はでたらめじゃ。こ奴らは儂らの内戦における敵対勢力での。騙し討ちしか能がない輩よ」


 ごりごりと骨を砕ききり、飲み込む偽樹さん。そして続ける。


「お主の側におったあのオスも、後ろで口を開けて、お主を狙っておったぞ。危うかったな」

「ええっ!?」


 どちらの話を信じればいいかは、分からないが、とりあえず今は逆らわない方がいい。感謝は無理だが。


「じゃあ、母船が墜とされたりは…」

「こ奴らにそこまでの武力はない。安心せい」


 戸惑う俺に偽樹さんは、(信じられないが)穏やかな声で、


「まあ、どちらが正しいかなんてのは、分からんじゃろう?」


 当たり前だ、ずーっと両方疑っている。グルになってる可能性すらある。


「儂らがお尋ね者というのも、あながち間違いではないしの。信じる、信じないは、これからお主が決めることじゃな」


 問題は何ら解決していないが、樹さんのことを思うと、悔しいが安堵した。


「そうそう、お主に吉報じゃ」


 …うわー、嫌な予感しかしない。


「あの地球人のメスの親の経営する、オーバーサイエンス社と商談が成立しての」


 地球の宇宙ビジネスは、一体どこまで進んでんだ…?


「地球外の技術力の譲渡を条件に、我々はこの星での居住権を取得した」


「…て…ことは…」


「これからもよろしくの、タクマっ」


「えええぇぇッー!?」


 …うわー、お先真っ暗だ。こいつと同居…。どうなるんだ、一体…。


「安心せい、もうこの星の人間を食ったりはせん」


 極度の不安で膝から崩れ落ちる俺。普通の日常が…。


「あんな美味い料理がある星を滅ぼすなんて。むしろ保護するに値するわい。それに…」


 樹さんの顔で、飛び切りのにこっとした笑顔をして、


「あんなもんで良ければ、毎日作ってくれるんじゃろ?」


「ぐっ…!!」


 おあーッ!!

 ホレてまうやろォーッ!!

 可愛いすぎるぞ、コンチキショーッ!!

 嫁に欲しいわーッ!!


「それと、あの娘の親父さんとの契約内容にのう…」


 ごにょごにょと耳元で偽樹さんがささやく。


「…へ?」

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