第48話 ◾️ヴェニー1%(最終日)

 夢を見ている。


 俺がリンとしている夢だ。


 俺の欲望がついに夢にまで出てきてしまったようだ。


 リンが俺の上に跨って、ぎこちなく腰を振っている。ような気がする。目が見えないから分からない。


 もういい、目隠しを取ってしまおう。スカーフを上にずらすと。


 ホミィがいた。


 今の状況を上手く表現できないが、どうやら俺たちはしているらしい。まだ頭がぼーとする。何があって、何が起きているんだろう。まだ夢の中なのかもしれない。


 俺が起きたのに気づいたのか、汗だくで頬を紅潮させたホミィが口を開く。


「アタシ頑張るから!頑張るから町を出ていかないで!」


 お前はもう十分に頑張っているよ。後継の娘として、毎日修行に励んでさ。俺も頑張ったけど、ダメだった。届かなかった。


 そう思った瞬間、急速に気力が失われていくのを感じる。


「……え?なんでどうして?アタシじゃダメなの?やっぱりあの女なの!?」


 ホミィが慌てている、何が起きているのか分からないが、俺にはどうしようもない。何もやる気が起きない。


「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!アタシを捨てないで!」


 もうどうでも良いんだ。どうでも。疲れた。


「どうすれば、そうだ、これなら……」


 ホミィが俺の頭からスカーフを取り外す。そしてそれで自身の髪を結んだ。


 その姿を見た瞬間、なんだろう、先ほどから失せていた気力が、少しだけ戻ってきた。


「ふふっ、おっきくなってきたね」


 そう言ってホミィが再開する。


 軋むベッドの音を聞きながら、俺はまどろみに身を任せるように意識を手放した。







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