第34話 ◾️ヴェニー77%(17日目)

 もういい加減、覚悟を決めよう。


 俺が決断出来ない時間が長ければ長くなるほど、ホミィの気持ちを裏切った時、あいつは傷つく。俺だって辛い。


 自分自身で進むべき道を決められないのなら、俺の起こした行動の結果で決めてしまうことにしよう。


 ゴブリンの討伐依頼を受けて、達成できたら、リンと町を出る。


 出来なかったら、死ぬか、町に残る。


 これでいい。町に残ることになっても、選択肢はいくつか残るけど、少なくともリンのことは諦める。


 早く楽になりたい。宙ぶらりんな状況はもう嫌だ。道を決めてさえしまえば、後はそれに向かって努力を惜しまない自信が俺にはある。




 朝、ギルドへと向かう。


 依頼情報を確認する。ゴブリンの討伐依頼は、今日は1件だけだが、まだ誰も受けずに残っていた。


 近場の村の周辺に沸いたゴブリン10匹、討伐報酬金貨8枚、その他、いくつかの情報が書かれている。


 場所は歩いて鐘1つ分くらいの場所だし、往復で鐘2つ、討伐に時間がかかっても鐘1つくらいで済むだろう。合計で鐘3つ分なら今から出ても門の開閉には間に合うし、俺は町の人間だからその気になれば門を開けてもらえる。最悪は依頼主のいる村で1泊してもいい。


 総合的に見て、悪くない依頼だ。これにしよう。


 この時間帯で、他の冒険者に取られずに残っているのは不思議だが、まあそういうこともあるだろう。


 依頼の木板を窓口へと持っていく。


「ヴェニー様、お1人でこの依頼を受けるのですか?」


 ミリアさんが俺に確認する。リンと一緒に受けるとでも思っているのだろうか。


「はい、Fランクの依頼ですし、そろそろ討伐依頼を経験しておいた方がいいかと思って」


「……戻るのは今日の予定ですよね?」


「今から出れば、5の鐘に余裕を持って間に合うと思います」


 盾も手に入ったし、気配察知が使えるから危なくなったら逃げる。別に1度で10匹全部を倒す必要はないんだ。それでも1人だからリスクがないわけじゃないが、そんなことを言っていたら、いつまで経ってもスライムから卒業できない。


「……わかりました。気をつけてください、ソロの冒険者は、ヴェニー様が思っている以上に、慎重に行動されるべきです。これはリンさんにも言えることですが……」


 その後、依頼の詳細を教えてもらった。

 まずは目的地の村で村長に話をして、ゴブリンの屯している場所を教えてもらってから、討伐に向かうことになる。


 荷物の最終確認をしてから、東門を抜けて、俺は東の村へと歩を進めた。




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