第17話 スキル取得と狩場の検討(11日目)

 今日で町に来てから11日目になる。


 2日目にスライムを1日で32匹倒してからは、1日30匹倒したら町に帰る、という生活を8日間繰り返した。間に1日、休息日兼、外行きの服の洗濯日を設けたけれど、流石に狩りすぎたようで、東門の近くの森はスライムになかなか遭遇しなくなった。なので少しずつ東に足を運んで、狩りの範囲を広げていった。結果、累計252匹討伐して現在はLv.7になった。SPは6。


 Lv.7になるまでの間、ちょくちょくステータスウィンドウは確認していたのだけれど、気付かないうちになぜかスキル一覧に《走術》とかいうスキルが出現していた。


 ここに来て説明なしの謎仕様に腹が立ったのだけれど、わたしなりに考察してみて、一応の結論が出た。おそらく、関連する行動を繰り返すことで、スキル一覧に取得可能スキルとして出現したのだと思う。1週間の間、南東の森と町を走って往復する毎日を過ごしていたので、スキル化に成功したんだと思う。


 SPも6ポイント余っていたので、せっかくなので興味があったスキルにポイントを降って取得してみた。現在のステータス及び所持スキルを纏めてみる。



 名前:リン

 種族:ヒューム

 魔法系統スキル:《水魔法Lv.1》《雷魔法Lv.1》

 戦闘系統スキル:《短剣術Lv.1》

 生産系統スキル:未取得

 技術系統スキル:《気配察知Lv.1》《体術Lv.1》《投擲術Lv.2》《走術Lv.1》


 Lv.7

 魔力:    19/19

 筋力:    12

 知力:    21

 防御力:   19

 魔法防御力: 21

 敏捷:    24

 技術:    26

 SP:     2


《雷魔法》、《走術》、《投擲術Lv2》を取得した。

《走術》は魔力を使わないパッシブ系スキルだし、使い勝手が良さそうだ。《投擲術Lv.2》は今後のわたしの遠距離メインウェポンとして採用する。Lv.2に上げるのにSPを2消費してしまったが仕方ない。多分他のスキルもそう言う仕様だろうし、LV.3に上げるのにはSP3を消費する可能性が高いだろう。そして《雷魔法》だけどこれは完全に趣味だ。かっこいいから。

 言い訳というか、攻撃能力に優れた魔法を1つは覚えておきたかったし、既に覚えている水魔法は攻撃性能低そうだし、他の火魔法とかは場所を選ぶし、闇魔法とかも攻撃性能ありそうだけど、何をイメージすればいいのかわからないし。

 雷なら比較的イメージしやすいから、溜めるイメージをできれば火力は出せるような気がする。


 さて、今日はどうしようか、せっかくスキルを新規で取得したし、《雷魔法》の

 試し撃ちをしたい。いつものようにスライムでもいいけれど、わたしのステータスも大分伸びたので、そろそろ他の魔物を狩ってもいい頃合いだと思う。南東の森にはスライムのほかにルーズラビットというウサギもどきが生息しているはずだけれど、探索範囲を広げても終ぞ出会うことはなかった。警戒心が強いらしいのでわたしの気配察知範囲より遠いところで気づかれて逃げられているか、夜にしか動き回らないとか理由はあるのかもしれないが、わざわざ探すまでではない。


「よし、今日から狩場を変えよう」


 いつまでも南東に引きこもっていても世界は広がらない。北や西の森は東とは違う魔物がではずだ。前に写した魔物資料を確認する。


 アサルトシープという羊もどきが、北西の森、及び森の外の草原に生息しているようだ。確かこの魔物は、串肉の材料として使われていると聞いた気がする。ランクはFランクでスライムよりも1段階上になる。この魔物にしよう。


 今日の予定も決まったので、身支度を整える。今日から髪型を変えて、おさげにしよう。前に流して、眼鏡をかけて完成。服装はいつも通り。この世界は基本的に服が高くて、みんな一張羅だから、わたしも目立たなくて助かっているけれど、いいかげんに外行きの服が1着しかないのも問題だ、お金も少し溜まってきたので、服屋さんで近いうちになんでもいいから買っておこう。


 1階に降りて、女将さんに出かけるよと声をかける。髪型を褒めてもらえた。この前、わたしが休みだった日は、女将さんに髪型をいじられながらおしゃべり出来て楽しかった。サーティスさんとヴェニーくんの小さい頃の話とか聞けたし。「娘が欲しかったからリンが来てくれて嬉しい」なんて言われてしまった。ちょっと困ってしまうね。


 ヴェニーくんはもう既に出かけてしまったようだ。残念。おさげを見せびらかしたかったのに。


 宿を出て、西門に向かう。宿よりこっち側は、まだあまり馴染みがないけれど、狩の後の空いた時間に何回か散策に来ている。

 大きな通りに面したところは、大抵なんらかのお店が入っていて、服屋、薬屋、雑貨屋など様々だけど、東側と比較して野菜や果物などの生ものを取り扱う店は少ないように見える。理由はわからないけれど、棲み分けがされているようだ。


 町並みを眺めながら進んでいると、西門が見えてきた。


 東門と同じで、詰所のような建物と、馬房があるが、東門よりも規模が大きい。門の前で立番をしている兵士も2人いる。どうしてだろうか。


 気になったので、挨拶がてら、聞いてみることにしよう。


「お疲れ様です。町の西側に来るのは初めてなんですが、ちょっといいですか?」


 兵士は10代後半くらいの若い男性と、もう少し上、20代中頃くらいの男性の二人組だ。

 若い方の兵士がこちらをみてから答える。


「えーと、構いませんがなんでしょうか?」


 ちらっと20代の方の男性を確認してから、わたしに返す。慣れてない感じがする。新人さんの研修中とかかな。


「はい、東門と比較して西門は、詰め所や馬房の設備が、立派な装いに見えるのですが何か理由があるのでしょうか?」


「えーと、西側は東側よりも馬車や人の通行量が多いからですね。その分、トラブルも多いですし。西の街道は港湾都市のロパリオに繋がっていますが、東側はかなり東まで行かないと大きな町がないので」


 なるほど、ということは、北門も同じ理由で規模が大きのかな、王都に繋がっている街道があるわけだし。


「よくわかりました。お仕事中なのに親切にしていただきありがとうございました」


 お礼を言って、西門を抜ける。


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