魔王の私は捨てられた…だから自由にやらせてもらう!

ヤンデレラの乙女

第1話 私…花嫁たちと別居する?




ジスタジオ…この世界の名前だ

そして当然ここには魔物もいるし勇者もいる

もちろんこの私魔王マルディ・カルアもな



「魔王様!アスタ王国近辺の砦を落としました!」



「ご苦労であった。皆にも伝えて欲しい」



「かしこまりました」



徐々に陣地を取り返しているところなのだが…

何しろ問題は…




「皆に休みを与えたいのに与えられない…資金源もカツカツなためか武器もボロボロ…魔王でありながら何をしているのだ」



圧倒的資金不足と部下の過労だ

ここ数年はまともな休みを与えていないのではないだろうか…

このままでは魔王としての威厳もない



「今年こそは絶対に休ませるんだ!」



そんな意気込みをした翌日




「「別居しましょう」」



目の前の花嫁たちにそう言われた



「ええと…理由を聞いてもいいだろうか?」



「理由?そんなの私はアンタから愛情を感じないのよ」



第一夫人のアレル

樹森族ドライアドの第一王女でもあり

かなりのワガママである。だがそこが可愛らしい



「私はそうですね…あまりにも先を見据えないところでしょうか?」



第二夫人のントール

呪人形族ルシアドールで元々は孤児で

苦労していたが私の父と今の里親によって

教養を学び素晴らしい女性になった

ちなみにたまに私も助けられている。とても可愛いぞ!



「私は…単純に信頼…できない」



第三夫人のマルマ

翼歌鳥族ハーピィの長であり

花嫁たちの中で一番人見知り。でもそんなところが可愛い



「私は魔王さんにもっと私の大切さを改めて実感してもらいます!」



そして第四夫人のカツラツ

炎霊魔イフリートデーモン

大変元気とにかく元気な子で実は親友の妹だったりする

すごい素直だから可愛い



「ああ…うん」



なんか納得いかない理由だなぁ



「えーと…確認なんだけど別れる気は?」



「「あなたが変わらないならそれも検討している」」



みんなこう言う時はハモるんだから

仲良すぎない?



「そうか…わかった別居しようか」パチン



私が指を鳴らすと彼女達の私物も諸々含めて

私たちのところに綺麗に並んでいく



「これでOKだ。本当は行ってほしくないけど君たちが決めたなら私は反対はしない。連絡は文通で行おう。後お義父さん達にもよろしく伝えてくれ」パンパン



手を叩くと魔法陣が浮かび、彼女達は各々の実家に転移した



最後に「ちょっとま…」って聞こえた気がするけど気のせいだろう



「………」




悲しいよおおおおおお!!やっば!?こんなに心に穴空くんだ!?本当に空っぽになりそうだ。部下たちの相談を聞いて大したことないと思っていたが、これほどまでとは…!

ここから私は立ち直れるだろうか…?









彼女達と別居してちょうど一ヶ月近く立つ

今日は今月分の資金を金庫に入れておく大事な業務がある。



「そう言えば…今日は金庫に資金を入れておく日か…一コインでも残っていないだろうか…」



私は金庫にかかっている魔法を解除し、金庫を開けた



「…こんなに輝いていただろうか?」



いつもと違い中は輝いていたのだ

さらに奥まで開けるとそこには



「なぜだ…何故今まで少しも残らなかった資金がこんなにたくさんあるのだ?」



私は頭で振り返るがいつも通り…いや違う!

彼女達にあげていたお金はどこに…?

まさかこの金全部が!



「この残ってるお金は全部…今まで彼女達が使ってた金額…なのか?」



私は彼女達を愛するあまりに無意識的にこんなに…いや待てよ?このお金があれば…

できるんじゃないのか?部下達に休暇を!

ぴかぴかの武器を!



「サディ!マエストール!」



「こちらに」



「お呼びでしょうか魔王様」



サディ…彼女は主に政治関連を仕切ることを仕事にしている粘体族スライム

経済面では彼女より秀でているものはいないだろう


マエストール

彼女は経理長を務める猫幻族ネコマタ

彼女はントールの次に頭が切れるため

戦略的な関係には必ず呼んでいる



「常日頃戦ってくれてる兵士たちを集めるんだ。もちろん四天王やそのほかの奴らもだ!重大な話をするからな」



「「かしこまりました」」





ガヤガヤと騒がしい声が聞こえる

そんなに私の発表が気になるのか?

私が一歩一歩を歩む旅に兵士たちは姿勢を変え

皆が膝をつき頭を下げた



「「魔王様私たち全員ここにまいりました」」



「うむ、よく集まってくれた。私から大事なことを話す!」



「一体なんだろうか…?」



「もしかして子供ができたとか?」




「私の花嫁たちとは一ヶ月前から別居をしていた。だがそのおかげで私は自分の行なっていたことを深く自覚した。私の行いが悪かったことで皆に迷惑をかけて、こうして休む暇もなく戦わせていたこと申し訳ない」



私が頭を下げると皆がざわめき出した



「おやめください魔王様!」



「貴方というお方が私たちのような下々に頭を下げてはなりません!」



叫んでいる方を見ると

四天王の1人マルマとアガラが必死に私に問いかけた



「いや!私はそれほど深い罪を犯したのだ。しかし皆が頭を下げて欲しくないならば皆の意見を聞くのも私の役目だ。頭をあげよう、さて本題に移ろう!私が言いたいのはただ一つだけだ」




「皆には明日から



途端にみんなが止まった

何か不自然なことを言ったのか!?




「魔王様…本当に…本当によろしいのですか!?」



「ああ!約束する明日必ず皆には休んでもらう!資金も余っている!援助も喜んで行おう!」



「待ってください魔王様。私たちが休みを取った場合。この城も領地もどうするのですか?」



「流石に1人なんてないですよね?」



「最低でも護衛はつけないといけません」



そう発言するのは四天王の1人

サラク・そして双子のナナナとラララだ



「護衛をつけたら休みを取れないだろう?明日1日は私1人でやらせてもらう」



隊員たちなどは喜んでいるが問題は上の上位戦力達



「魔王様1人なんて危険です!私を護衛に!」



「いえこの私を!」



「私たち2人の方が百人力です」



「ガチガチ百人力〜」



「だがそれだと皆が休めなくなる」



「私は魔王様のおそばにいられるなら何もかも幸せなのです」



「私もそう思っております!」



ええ?せっかく休みを与えるのに逆にお側に行かせて欲しいと言われた…



「そうか…なら明日は皆に護衛を頼もうか。陣地の防衛は私1人で…」



「「それも許せませんよ!!」」



(仕方ないな…皆に任せるとしよう)



「話は以上だ!皆のものよ明日は一日中めいいっぱい休むのだぞ!」







「ふぅ…」



みんなはもう気がついてるだろうか

この魔王軍の上位達は全員女性だ…

いや最初は男だけが昇進など言語道断

男女平等にしようとしたのだが

いつのまにか私を除いて女性ばかりが四天王などに入っている



「まず皆に休みを与えるは達成だ…どうせならやりたいこともやってみるか?」パチン



指を鳴らすと魔王の骨格がかわり

髪は長く胸はでかくなり、声も何もかもが女の子になっている。



「私は昔から女になってみたかったのだ!素晴らしい可愛らしい顔…私の名前も今日からカルナにしようかな!」



それにしても



「この体…嫁たちよりスタイル良くないか?」



胸も大きいし…足細いし…



「魔王様明日魔王様の護衛に…貴様誰だ!!」



「待って待って!私だ!カルアだ!」



「はい?魔王様は男です、嘘は大概に」



「このオーラをみてもそう言うか?サディ」ゴゴゴ



「ひっ!?…この威圧感は…!」



「申し訳ございません!魔王様をお疑いにしてしまい!」



「いや私がしっかり話しておいた方が良かったかもしれんな。」



「いいえ!よく考えればわかることを私は…」



「もう過ぎたことだ。それよりどうだろうか?私は昔からこうやって女性となってみたかったのだ…その似合うだろうか?」



「大変お美しいです!」



「それは嬉しいな!よし私はこの状態でいることも多くなるだろう。今のうちにみんなに周知してくれるか?」



「かしこまりました。」



バタン



この体中々気持ちいいな

それにしても彼女達は元気だろうか?

いやそれよりも武器など新しい装備体制にしなければ





場所は代わり

ドライアドの森




「アレル…何故お前は魔王様に対して試そうと思った。何をしたかったのだ?教えてくれ」



「私も…まさか本当に別居になるとは思ってなくて…」



「全くうちの娘は何をしてるのか…」



「(旦那様かれこれ一ヶ月よ?なんで迎えに来ないのよ…私のこと見捨てちゃったの?)」



嫌だ…嫌だ…

見捨てられるなんて…愛してもらえないなんて…

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!



「ふんふんふ〜ん🎵」



私の妹ヤラがご機嫌に荷物を持って出てきた



「ヤラ?その荷物はなんだ?今日は第二部隊の支援をしないといけないだろう。」



「お父様知らないのですか?魔王様が私たちに休みを下さったのですよ?」



「は!?ちょっとヤラ!どう言うことよ!」



「何故花嫁である姉様は知らないのですか?…あ!そう言えば今は別居していましたね。」



「ヤラとりあえず説明を頼む」



「昨日ですね?部下や四天王様たち含めて全員が集められまして…今日一日とは言え休みをいただきました。そして今後は休日もしっかり取っていくみたいですよ?それに!日帰り温泉とかなら援助もしてくれるらしいのですよ!」



「援助?旦那様の資金にそんな余裕…あるはずないけど」



「実際あったみたいですし私からはなんとも…まあそう言うことですね。でも私特に行きたい場所もやりたいことも見当たらなかったので魔王様にご指南をお願いしました。それに今の魔王様は女性の姿でもあるみたいなのでそれを堪能してくるのですよ…ぐへへ」



「いや…女性?何言ってるのよ?それに御指南って旦那様にそんな余裕は…」



「お願いしたら心良く了承いただけましたよ?」



「そんな…はずは…」



「そろそろ行かないと間に合わなくなるので失礼しますね?後姉様もう一つ」



「な…何よ…?」



ヤラはゆっくり近づき耳にボソボソと…



「私…まだ魔王様のこと諦めていませんので…奪われても文句は言わないでくださいね?」



「な…アンタ!」



「では失礼しますね」



私を横を通り過ぎて出ていくヤラの後ろ姿をみながら私は怒りと嫉妬の渦でいっぱいになった





また場所は代わり

ントールの実家






「おかしい…私の計算では…もう迎えにきていてもおかしくはないはず…」



「姉ちゃん…私の計算とか言うけどな?魔王様だって生きている生物だぞ?数式でもないんだから絶対なはずないだろ?」



「しかし…トオラにはわからないでしょう。私の計算が外れないのはカルア様との愛が強い故です。」



「その計算が外れてるんだろうが…」



トオラは私が今の両親に拾われた後にできた妹

男みたいな口調で筋肉質で明るい

まさに私とは真逆ではないかと思えるほどに



「さて…俺はそろそろ行くわ」



「どこに行くのです?」



「魔王様のところだが?」



「は!?何故あなたが!?」



「知らないのか?俺たち部下たちとりあえず今日1日は全員休みなんだよ。それで俺は戦うことしか脳がないからな。稽古をつけてもらうことにしたんだよ。他何人かいるけどな」



「休み?…稽古?…意味がわかりません…そんな急に…」



「だが事実なんだなこれが。姉ちゃんは別居して知らなかったみたいだがな?」



「うぐ…!?」



「後もう一つ言っておく。俺は魔王様が好きだ。姉ちゃんに負けねーくらいにな」



「何を言って…!」



「妹として最低だろうが…でも別居を提案したのは姉ちゃん含め花嫁全員だよな?なら問題はないはずだ。」



「別居してるだけで別れたわけでは」



「どうだか?魔王様はとてつもなくお優しい方が。だから俺たちのような下々に頭を下げた、休みをくれた、男女平等に扱い種族差別もしない。だがあのお方は優しい反面冷酷な心も持つ。姉ちゃんが別れてないと思っても、魔王様は別れているものと思ってるかもな」




別れる?私とカルア様が?

そんなこと1%のかけらもない!絶対!



「ありえないです!そんなことは!」



「ありえないと思うならいいんじゃね?ここで迎えにきてくれると思って籠っていたらいい。だがその頃に俺に盗られても文句は言わないでくれよ?」



ヤラの後ろ姿は本気だ。

彼女は本気だカルア様に対しての愛情も私に告げた言葉全てが本音だろう

だが関係ない。私から奪えるなら奪ってみろ

私の旦那様は



「絶対…渡さない!!」





また場所は代わり

ハーピィの住処




「ん…憂鬱」



「姉の料理を食べている時にそんなこと言う?まずかった?」



「違う…美味しい…そうじゃなくて」



「アンタの旦那様のこと?」



「…うん」



彼女はタハン姉さん

私の三つ上の姉…



「なんで別居なんてしたのよ。とても幸せそうだったじゃないの。」



「いや…ただ…わたしが大事なんだって…思いたくて…」



「そんな試すようなことして…あ!もうこんな時間…わたし出かけてくるわ」



「行ってらっしゃい…そんな荷物持って…どこに?」



「アンタの旦那様のところ」



「は?」




足早に立ち去った姉を見て私は…



「…なんで…なんで」



ただただ困惑していた








場所は変わって




「なぁハツラツ?お前なんでカルアと別居してるんだよ」




「それは!私という大切な存在を再確認して!私に依存させるため!」



「全く意味がわからん」



この人はマタヌス

私の兄でカルア様の親友的存在!




「お前…カルアに嫌われても知らないぞ?」




「心配ご無用!私にかかればうまく行くこと間違いなし!」




「お前元気なのはいいことだぞ?その自信に溢れてるのも。だけど今回に関しては本当に兄としてやめておくことを推奨する。素直に謝る方がいい!大体…こんなことしてたらあいつが黙ってるわけが…」



「誰が黙ってないって言ったの?」



「おわ!?…カルン、気配を消してくるのはやめてくれ心臓に悪い」



「そんなつもりないのに」




彼女はカルン姉さん

とても物静かで私と正反対な存在!




「話は最近概ね聞いたよ。まさかカツラツがここにいたのは別居してたからなんだってね?それならさ?私狙ってもいいよね?」




「な!ダメですダメです!カルア様は私のものですよ」



「そんなこと関係ないでしょ?まぁいいよ今日魔王様に会うから…行ってくる」




「行ってら〜」




「まだ話は終わってませんよ!」



私を無視してそのまま出て行った姉さん

少しムッとしてしまった




「まぁお前がまだやるなら俺は止めないが…どうなっても知らないぞ?」





そう言って兄さんも自室に戻って行った






「ううん…皆さんと立てた柵とは言え…少し不安になってきました…」



元々これは私含めた花嫁4人が立てた計画だった。お互いの気持ちも一致したため団結して頑張ろうとなったが…

少し不安な気持ちを残したまま私も自室に戻っていく






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