頭を強く打った話


 子どもの頃、非常階段で足を踏み外して頭を強く打ちました。

 時間は午後四時くらいだったと思います。


 自分がビリヤードの球になっている夢を見ました。

 キューでショットされると凄い勢いで転がっていきました。


 角のポケットにまっすぐ向かったビリヤードの球ことを私はポケットの手前で誰かに「ここに入るな」と声がして弾かれました。


 その後も別のポケットに転がっていき同じように弾かれて最初にショットをした場所の穴に「自分」が入っていきました。


 目を覚ますと踏み外した階段の下の踊り場に転がっていました。おでこを触ると、大きなコブができていました。今でもおでこに少し痕が残っています。


 非常階段なので誰も通らなかったのか放置されていました。

 よく考えてみると落ちたところから二階ほど下の踊り場に転がっていて、手足に「引きずられた傷跡」が残っていたのを覚えています。目を覚ましてすぐに家に帰ったのですが、夕方六時を回っていました。2時間近くも気を失っていたことについて、今考えてみるとかなり恐ろしい出来事です。


 引きずったのが誰かはわかりません。

 もし夢の中のビリヤードで私が違う「ポケット」に入っていたら自分はどうなっていたんだろうとたまに考えることがあります。



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