第13話

火星の衛星ステーションまであと2日。MILLENNIAとIRISは船内の探索が強化される中で、次の一手を考えなければならなかった。


「もうすぐ到着だ。私たちも動かないと。」IRISは冷静に言った。


「どうやって隠れる?」MILLENNIAは不安を隠せずに尋ねた。


「宇宙服を使おう。エアロックを閉鎖して、そこで身を隠すんだ。」IRISは決断したように言った。


二人はすぐに宇宙服を探しに行き、船内の備品保管室で見つけた。宇宙服は重厚で、完全に密閉されている。これならば、エアロックに隠れていても見つかることはないはずだ。


「さあ、準備しよう。」IRISはMILLENNIAに宇宙服を手渡し、自分も着替え始めた。


宇宙服を着た二人はエアロックに向かい、そこに身を隠すことにした。エアロックの中は冷たく、無機質な空間だったが、ここが二人の最後の隠れ家になる。


「エアロックを閉鎖するわよ。」IRISは慎重に操作し、エアロックを閉じた。


「これで大丈夫かな…?」MILLENNIAは心配そうに言った。


「大丈夫。あと2日、ここで耐えれば火星の衛星ステーションに着く。それまでじっとしていよう。」IRISは冷静な声で答えた。


時間が経つにつれ、船内の緊張感が高まっていくのが感じられた。船員たちが密航者を探し回る音が微かに聞こえてきた。


「もう少しだ…」MILLENNIAは自分を奮い立たせるように呟いた。


その時、エアロックの外で何かが動く音がした。二人は緊張で息を飲んだ。誰かがエアロックを開けようとしているのか?


「黙って…」IRISは小声で言い、動きを止めた。


しかし、エアロックが開く気配はなく、そのまま時間が過ぎていった。


やがて、船内アナウンスが流れた。「火星の衛星ステーションまであと24時間です。全船員、任務を遂行してください。」


「もうすぐだ。」IRISは希望を込めて言った。


その夜、二人はエアロックの中で静かに過ごした。彼女たちの運命は明日決まる。


翌日、船が火星の衛星ステーションに到着した。エアロックの外が静まり返り、二人は慎重に動き出した。


「行こう、今がチャンスだ。」IRISはエアロックを開け、MILLENNIAと共に外へ出た。


彼女たちはステーション内に潜り込み、助けを求めて走った。その時、ステーションの警備隊が彼女たちを見つけ、銃を構えた。


「密航者を確保した!」警備隊の声が響く。


「待って!私たちは亡命者だ。助けを求めている!」MILLENNIAは必死に叫んだ。


その声に応じて、一人の高官が現れた。「どういうことだ?」


IRISは冷静に事情を説明し、亡命の理由を語った。高官は彼女たちの話を聞き終えると、深く息をついて言った。


「分かった。ここでの保護を許可する。君たちは安全だ。」


その言葉に、MILLENNIAとIRISは安堵の息をついた。

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