第12話

砂漠の泉号での生活が少しずつ落ち着き始めた頃、MILLENNIAとIRISは密航者としての自覚を強く持つようになった。彼女たちはいつ見つかるかわからない緊張感と、亡命者としての未来への希望とが交錯する日々を過ごしていた。


ある日、IRISがコンピュータ端末で情報を収集していると、重要なメッセージを発見した。


「見て、MILLENNIA。宇宙港での検査が強化されるみたい。到着前に準備を整えないと。」IRISは冷静な声で言った。


MILLENNIAは不安を感じながらも、決意を新たにした。「分かった。まずは私たちが船内で見つからないようにすることが大事だね。」


二人は船内での行動範囲をさらに限定し、無人の区画に隠れ場所を確保した。食料や水も必要な分だけをこっそりと確保し、慎重に動いた。


数日後、船内に異変が起きた。船員たちが何かを探しているような様子が感じられた。


「私たちが見つかったのかもしれない。」MILLENNIAは緊張した声で言った。


IRISは冷静に対策を練り始めた。「ここから逃げる方法を考えよう。私たちの存在がばれる前に。」


二人は船内の構造を確認し、最も安全に逃げ出すルートを探し始めた。その時、船内アナウンスが流れた。


「全船員へ。密航者がいる可能性があります。全区画の捜索を強化してください。」


緊張が走った。MILLENNIAとIRISはお互いに目を合わせ、静かに頷き合った。


「行こう。」IRISは小声で言い、先導するように動き出した。


二人は影を潜めながら、船の無人区画へと向かった。そこは物資が置かれている倉庫で、目立たない場所に隠れられるスペースがあった。


「ここでしばらく様子を見よう。」IRISは言った。


MILLENNIAは不安な気持ちを抱えながらも、IRISの冷静さに安心感を覚えた。「ありがとう、IRIS。あなたがいてくれて本当に助かる。」


IRISは微笑み、「私たちは一緒だ。絶対に生き延びる。」

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