第13話

 第3層は洞窟型に形を戻しまばらにアイアンゴーレムが湧くようにし、他にもいくつか余ったDPSで鉱脈を作った。

 約束通り騎士団を駐屯させてくれているおかげで一日のDPが3000にまで到達した。

 どうやら人間をダンジョンに長期間留めることが出来れば少しだけ貰えるDPにバフが乗るようだ。


「す、凄いわ、こんなにたくさんのDPが」

「まだまだこれからだぞ、まだ騎士団しか居ないんだからなこれから冒険者なんかも来ればもっと稼げるようになるかもしれない」

「やっぱり、あなたって凄いのね」


 これはこのダンジョンを運営する上での最低ラインを作ったに過ぎない、DPがなくて何も出来ないという状況を無くしていくためには安定が大切なのだ。


「さて、約束通り2日たったし3層を解放しようか」

「伝えてきてあげたらどう?」

「そうするよ、憑依」


 俺はリリアに憑依して騎士団の駐屯地に出向く。

 警戒はされるものの攻撃されることは無いので安心して近ずく事が出来る。


「第3層を解放した、アイアンゴーレムといくつかの鉱脈を用意しているから好きにするといい」


 それだけを言い残して俺はコアルームに戻る。

 早速、騎士団が数人で調査に向かうようだ。

 アイアンゴーレムは一体でも数十キロの鉄を確保出来るためアイアンゴーレムの出現するダンジョンはかなり重宝されるらしい。


「凄いわね、あの騎士団が苦戦しているところ見た事ないわ」

「本当に結構強いんだな」


 アイアンゴーレムをしっかりとしたチームプレーで倒してしまうと予め持ち込んでいた荷台にアイアンゴーレムを積んでさらに奥へと向かう。


「まあ、約束は果たしたしこれで十分だろ」

「まさか人間に媚びを売ることになるなんてね」

「共存だよ、媚びを売るつもりは無いぞ」

「そうなの?」

「あぁ、今後はダンジョンらしいダンジョンを作るのも予定にあるしな」


 あくまで今回は友好を示すための階層で今後は人間に有用な資源を出しつつも難易度を上げていく、そうしないと強い冒険者が来てくれないからな。


「色々やることは多いけどこれからもよろしくね?」

「そこそこに期待しといてあげるわ……」


 少しずつシーナの俺への当たりが柔らかくなっている気がするし色んなことが順調に進んでいる。

 こういう時こそ、しっかり注意しておかないと躓きやすいからな。


「よし、じゃあ刻印の準備でもしてみようかな」

「あぁ、あなたのスキルよね? 初めて聞くスキルだわ」

「実際俺もよく分からん」


 DPで彫刻セットを出してついでに適当な木の板材も出す。

 教本に書かれている通りの印を掘ろうとしてみるがなかなか上手くいかない。

 刻印が成功すると魔力を流した印の位置が光そうだ、その光が強ければ強いほどいい成功で性能が良くなる。


「やっと……」

「あら、成功したの? もう夜だし何か食べる?」

「効果を試してからにするよ」


 ほんのり薄く輝いた板材には硬質化の刻印がされており板材が固くなっていれば完成のはず。

 余った板材と比べてみるがそこまで違いが分からない。

 そこで刻印に残りの魔力をありったけ注ぎながら余った板材に刻印付き板材を振り下ろす。

 叩かれた板材が砕け散るのを見た俺は突如謎の倦怠感に襲われて倒れ込んでしまった。

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