第11話 異世界人
「よし、行ってくる」
「気をつけるのよ」
「ありがとう」
いよいよ、リリアに憑依することで初めて異世界人と接触する。
倒されることは想定に入れているが痛覚までリンクしているようなので何としてでも死ぬのだけは避ける方針だ。
「憑依」
ダンジョンの機能で第1層に飛ばしてもらう。
初めて自分の目で見るダンジョンはすごいの一言だった。
広がる草原に何故かある太陽これがDPだけで作れるというのだから闇神という存在の強さが分かる。
「こっちの方向であってるよな?」
『合ってるわ』
これまたダンジョンの便利機能というかコアとマスターの特権らしくダンジョン内なら無線のようなものが使えるのだ。
「見えた」
『あとは頑張りなさい』
目の前に騎士団の野営地が見えた。
どうやら昼食中のようで見張りはいるのもも明るい声が聞こえてくる。
「すぅぅぅぅーー、聞こえるかぁぁぁぁ!!」
「なんだ!?」
「警戒態勢!!」
発生の調子もよし。
そしてこの勝負を分けるのは勢いだ!
「俺はこのダンジョンの主だ! 取引をしに来た!」
「隊長」
「警戒を怠るな、私が話そう」
「しかし」
「分かっている、だから私が行くのだ」
色々分からない会話が多いがとりあえず話には応じてくれそうである。
隊長と呼ばれる人物が剣を突きつけながら前へと進んできた。
「ありがとう助かるよ」
「モンスターから礼を言われる日が来るとはな」
「そこら辺のモンスターとはそもそもが違うから仕方ないだろう」
「我々にモンスターの違いなど分からんのでな」
「俺にも分からんな」
俺自身が人里に降りることも考えて口調も声色も変えて少し威圧的な喋り方をしてみる。
初めて向けられる敵意や切先がかなり怖くこれが自分の足なら震えが止まらなかっただろう。
「本題に入ろうか」
「……」
「俺たちはお前たち街の人間が欲する物資をできる限りダンジョンに出現するようにしよう、その対価としてここを人で溢れるダンジョンにする手伝いをしてくれ」
「どういうことだ?」
「ダンジョンは人が居てこそ成り立つんだ、なのにこんな辺境ではどうやったって人が集まらない」
「資源の代わりに人間を寄越せと?」
何か間違った受け取られ方をしている気がする。
共生というより主従関係をイメージしているのか険しい顔をしている。
「別に生贄を求めている訳じゃない、お前たちの街が発展すれば俺たちのダンジョンも潤うwin-winだろ?」
「……」
「お前たちに決定権がないことくらい知っている、1度領に持って帰って領主と話してみてくれ」
「……分かった話を通してみよう」
「ありがとう」
俺は片手を上げて合図を送るとシーナが俺をコアルームへと引き上げてくれた。
何とか目的も達成出来たのであとは騎士団が伝えてくれるのを待つだけだ。
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短いですが
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