第7話 シーナ

「ん〜、どれくらいDPが欲しいです? 最大15万はですかね、校則で定められているので」

「15ですか……」

「ふふっ、異世界の書物とたまにこうして遊びに来てくれるだけでいいんですよ?」


 DPを貰ってこんな美女に会いに来れる世界線があるなんて……図書館って最高だな。

 しかし、本当に借りていいのだろうか? シーナにも相談していないし俺の独断で決めるのはやめておこう。


「シーナ、コアの方とも話したいので1回帰っても良いですか?」

「もちろんよ〜、また来てくださいね?」

「もちろん」


 投資の話がなくてもこんな美人と話せるならここに通うに決まってる。

 しかし、シーナにどうやって説明したものか……


「あ、そうだ、これは気持ちですどうぞ受け取ってください」

「これは?」

「随分と昔にいたあなたと似たような境遇の人が書いた本ですよ」


 俺と同じ境遇か、転生してダンジョンマスターになるなんてその人も奇妙な人生を送っているらしい。

 そもそも転生するとダンジョンマスターになるのか?ダンジョンコアのシーナが他にいた事を知らないということは俺が特殊な例なのかもしれない。


「ありがとうございます、ではまた」

「いい返事を期待してますね〜」



 ◇シーナの回想


 私はダンジョンコアとして20年ほど生きてきた。

 最初は4000近く居た6期のコアも今は3000程になってしまった。

 私は弱いけれど息を潜めて細々と生きていたから今もこうしてコアとして生活ができてる。


 そんな私に2年前、転機が訪れた。


「6の0417聞こえるかい?」

「闇神様!? き、聞こえています」

「君の元にマスターが着くことになったんだよ、しかも飛びっきり特別な子がね」

「ほ、本当ですか!?」

「あぁ、2年後のちょうどこの日に君の元に現れるから頑張るんだよ」

「は、はい!」


 今までで闇神様を見たのは生まれる時の1度のみ、だからこそ、この出来事は私に大きな期待を与えてくれた。

 闇神様が言うほどの特別なマスターとは誰なのだろうか?


 2年後のマスターが来る日

 私のそんな期待を裏切りながら現れたのは1人の人間だった。


 ドラゴンでも高位の精霊でもなくただの人間。

 私は落胆し、大きな声を上げて叫んだ、今思うと少し酷いことをしたのかなと思う。

 あいつ、ユウキだってここに来たくて来た訳じゃないはずなのに、それでも前向きに出来ることをしようとダンジョンを作り替えて何も出来ない私にこれからを語ってくれた。


 今だってあいつは1人、学園の図書館でダンジョンについての情報を集めてる。

 力じゃ勝てないような化け物だらけのあの場所に行くのなんて怖いはずなのにどうして前向きに考えて動けるのだろうか。


 あいつと一緒になら強くなれるのかな……


「おーい、シーナちょっと話があるから来てくれ〜」

「そんなに声を張らなくても聞こえてるわ」




 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 なんとシーナは20歳

 主人公より歳上なんですわ

 これからもたまにビビりっ子シーナの視点も入れていきます。


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