第6話 図書館での出会い

「よし、行ってくるから留守番頼むぞ」

「うん」


 俺は転移陣に乗って学園に入る。

 めんどくさいのに目をつけられては困るので急ぎ足で廊下を駆け抜け図書室に入る。

 前来た時もそうだったがあまりにも静かで人が居ない、俺では届かないような高い位置まで本棚が続いており、本好きにとっては夢のような空間だろう。


「探しものがあるのかしら?」

「っ!?」

「あら、驚かせちゃった? ふふっ」


 声が聞こえているのに誰もいない。

 辺りを見渡しても本棚が無限に続くだけで人っ子一人見えない。


「ごめんなさいね、余りにも久しぶりに可愛げのある子が来たからイタズラしたくなっちゃいました」

「うおっ!?」

「ふふっ、いい反応をしてくれますね」


 何もいなかった空間から突如として人が現れた。

 綺麗な銀色の髪色に綺麗な青い目、歳は20代くらいだろうか? 俺よりも少し背が高く大人のお姉さんといった感じの容姿に少しドキドキする。


「年齢は秘密ですよ〜、ふふっ」

「ここの司書さんですかね?」

「えぇ、まあそんな感じですね〜、珍しく人が来たので見に来たんですよ〜」

「じゃあ、ここにある本を把握してたりしますか?」

「まあ、大体なら分かりますよ〜」


 何か見透かされているような怖さがあるがこんな膨大な本の中から目的のものを探すなんて確実に無理なのでこの人に頼むしかないだろう。


「じゃあ、DPについて書かれている本が読みたいんですが」

「ありますけど、そうですね〜、私との勝負に勝ったら持ってきてあげましょ〜」

「ふふっ、言いたいことは分かりますよ〜? でもここに見知らぬ顔が来るなんて滅多にないですからもう少し私の遊びに付き合ってほしいなーって」

「分かりました、良いですよ」


 よく分からないがこの人以外に今は手がかりもないので勝負とやからに乗るしかない。


「そんなに警戒しなくても取って食おうって訳じゃないですよ〜、まずはこれをしましょう!」


 そう言って司書さんが取り出したのはオセロらしきボードゲームだった。

 念の為ルール説明を聞いてもオセロまんまで結果は俺の圧勝で終わった。

 司書さんがなかなかに下手で全消しや角を明け渡したりとかなり舐めプをしてしまった。


「うっ、つっ、次! これなら私でも勝てるはずです!」


 そう言って出されたのは将棋でこれもルールブックを渡されたがサッと開いてルールが同じなのを確認すると司書さんをボコした。


「つ、強い」

「どうやったら金、銀、飛車、角抜きで負けるんですか……」

「惨敗です……」


 将棋における強い駒をほぼ全て使わずに勝ってしまった。

 ここまで来ると少し不憫で申し訳なくなってきた。


「うぅ、どっちも1人でやってたら分身の私に大勝出来るのに……」

「さ、そろそろ本を見せてくださいよ」


 ここに来てからかなり時間が経っているしそろそろ目的のものを見つけたい。

 こういうボードゲームは結構好きなのでここらでやめないと司書さんを鍛え上げてもっと白熱した戦いができるようになるまでしていたかもしれない。


「仕方ないですね……敗者は大人しく従いましょう」

「ありがとうございます」


 司書さんがどこかへ消えていく、少し待っていると本がひとりでにやってきて俺の目の前で止まる。


「おぉ、魔法なのか?」

「ばぁ!」

「流石にもう驚きませんよ?」

「まあ、なんとからかいがいのない子なのかしら」


 運ばれてきた本はただ司書さんが透明になって運んできていただけで魔法ですらなかった。 いや?透明化は魔法なのか?


「そんな本読んでどうするんですか?」

「収入源を少しでも増やして次の改装までの時間を短縮しないと目標に届きませんから」

「なら、私が投資してあげましょうか?」

「え?」

「DPを貸してあげるということですよ」

「利子はどれくらいの割合ですかね?」

「ん〜、異世界の書物でどうでしょうか」


 バレているとは思ったがいきなり確信を突かれると流石に少し焦った気持ちになるな。

 敵意がないのは何となく分かるが異世界人だとバレると面倒事が起こるかもしれないので極力隠したかったのだが……


「今ならなんと過去の転生者が書いたこの世界のチュートリアル本まで付いてくるのにな〜」

「分かりましたよ、その話受けます」



 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 司書さん、名前どうしよ……


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